海外在住者が日本の相続不動産を確認する方法
海外に住む日本人・相続人向けの実務ガイド。相続した不動産の特定、登記状況の確認、そして海外からでも進められる相続登記(義務化)の手続きを解説します。
海外に住む日本人によくある話です。日本にいる親や祖父母が亡くなり、見たこともない実家や農地、田舎の空き家を相続していたと知る。手元にあるのは戸籍の本籍地の住所や古い固定資産税の納税通知書、「田舎にある実家」といった曖昧な記憶だけで、地番も分からず、他に相続人がいるのかも、そもそも登記が誰の名義になっているのかも分からない——というケースです。
2024年4月以降、この状況には法的な期限がつきました。相続した不動産の名義を被相続人(亡くなった方)から相続人へ変更する 相続登記 が、相続人が日本に住んでいるかどうかに関わらず義務化されたためです。このガイドは、そうした相続人側の視点で書いています。何を相続したのかを特定し、登記の状況を確認し、海外にいながら相続登記の手続きを進める方法を解説します。逆に、購入を検討している物件に相続未登記の問題がないかを確認したい買主の方は、日本の不動産の相続未登記を確認する方法(英語) をご覧ください。
所有権は亡くなった瞬間に相続人へ移る。登記はそれとは別の、今は義務となった手続き
日本の民法では、被相続人が亡くなった瞬間に不動産の所有権は相続人に自動的に移転します。これを登記簿上に反映させる 相続登記 は法務局への別途の申請であり、長年、任意の手続きでした。特に地方の土地や古い家屋、価値の低い不動産では手続きされないまま放置され、登記簿上の名義が何年も、何十年も前に亡くなった人のままになっているケースが多発していました。
この状況は、不動産登記法第76条の2の新設により変わりました。2024年4月1日施行のこの規定により、相続人は「相続が開始したこと」と「自らが不動産の所有権を取得したこと」の両方を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務を負います。正当な理由なくこれを怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。この規定は遡って適用され、施行日より前に発生した相続で、すでにその事実を知っていながら未登記の場合は、令和9年(2027年)3月31日、または知った日から3年、のいずれか遅い方が期限となります。
期限までに本登記が終わらない場合の簡易な暫定手続き
義務化とあわせて導入されたのが 相続人申告登記 です。これは相続人の一人が単独で、他の相続人の同意や協力を得ることなく、「相続が開始したこと」と「自分がその相続人であること」を法務局に申し出る簡易な制度です。押印や電子署名は不要で、オンラインでも手続きできます。この申出をすれば、他の相続人との遺産分割協議が続いている間も、自分自身の登記申請義務は履行したとみなされ、過料を避けられます。
ただし、これは本登記の代わりにはなりません。相続人申告登記をしても登記名義は相続人に移らず、この状態のままでは不動産を売却したり抵当権を設定したりすることはできません。それらを行うには、別途、本来の相続登記を完了させる必要があります。また、義務が消えるわけでもありません。不動産登記法第76条の3第4項により、その後あなたと他の相続人との間で 遺産分割 が成立した場合は、その分割の内容に従った相続登記を、分割の日から3年以内に申請しなければならず、これを怠ると同じく過料の対象になり得ます。すぐに売却する予定がないからといって、相続人申告登記をしたまま放置してよいわけではありません。遺産が分割された時点で、本登記完了までの期限が改めて動き出します。
海外在住だと書類面で何が変わるか
海外に転出して日本の住民登録を抹消していると、通常の登記申請で必要となる 住民票 が国内では取得できません。これは新しい登記名義人の住所を証明するもので、遺産の分け方に関わらずどのケースでも必要です。一方、印鑑証明書 に代わる署名の認証は、申請自体がそれを必要とする場合、つまり複数の相続人が 遺産分割協議書 に署名する場合には常に必要です。これには、全体の価値配分は法定相続分どおりであっても、特定の不動産を特定の相続人に割り付けるような分割方法も含まれます(価値配分そのものを変える場合に限りません)。相続人が一人だけの場合や、法定相続分どおりの共有のまま登記する場合、遺産分割協議書を作成せず遺言のとおりに相続する場合は、通常は印鑑証明書自体が不要です。どちらに該当するかは、事前に司法書士に確認してください。
これらの書類の代わりに何を使うかは、あなた自身の国籍によって異なります。在外公館(日本大使館・総領事館)のこの証明業務は、原則として日本国籍を有する方のみが対象だからです。
- 日本国籍がある場合: 住民票の代わりには、在外公館が発給する 在留証明書 を使います。パスポートと現在の海外住所を証明する書類を提示して発給を受けます。署名の認証が必要な場合は、同じ在外公館が発給する 署名証明書 が印鑑証明書の代わりになります。形式は2種類あり、領事の面前で署名した書面に証明書を綴り合わせる形式と、署名そのものを単独で証明する形式があります。いずれも取得には原則として在外公館へ本人が出向く必要があります。
- 日本国籍がない場合(外国籍の配偶者やお子さまなど、法定相続人が日本国籍を持たないケース)は、通常、在外公館はこれらの証明を発給してくれません。代わりに、居住国の公証人(ノータリー・パブリック)が、住所を宣誓する書面(宣誓供述書)を住民票の代わりとして認証し、署名の認証が必要な場合はそれも同じく公証人が行い、印鑑証明書の代わりとして用います。どのような様式が求められるかは事案や提出先の法務局によって異なるため、公証を受ける前に司法書士に確認し、在外公館ルートより時間がかかることを見込んでおいてください。
いずれのルートでも、この本人出頭を伴う証明取得(在外公館または現地公証人)が、手続き全体の中で唯一、遠隔では完結できない部分になることが多いです。それ以外の手続きは、委任状に基づいて 司法書士 に依頼できるため、登記申請そのもののために日本へ渡航する必要はありません。
相続人を確定させるための戸籍集め
相続登記には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍と、相続人全員の戸籍が必要です。これは家族関係の全体像を確認し、把握していない相続人がいないかを確かめるためです。海外からは、本籍地の市区町村役場に郵送で請求します。多くの自治体で、請求書、国際郵便為替や定額小為替による手数料、パスポートなど本人確認書類の写し、返信用封筒(返信用切手を貼付)が必要です。海外からの請求は、通常数週間程度かかります。
ここで一つ注意が必要です。2024年3月1日から始まった戸籍の 広域交付制度(本籍地以外の窓口でもまとめて戸籍を取得できる制度)は、海外在住者には使えません。この制度は請求者本人が日本国内の市区町村窓口に直接出向くことが条件で、郵送請求、オンライン請求、代理人や専門職による請求は対象外とされているためです。海外在住の相続人は、従来どおり本籍地ごとに郵送で戸籍を請求することになります。
ここまでは、あなた自身が本籍地を持つ日本国籍者であることを前提にしています。もしあなたが法定相続人ではあるものの日本国籍を持たない場合(外国籍の配偶者やお子さまなど)は、そもそも自分自身の戸籍がありません。その場合は、自国の出生証明書や、必要に応じて婚姻証明書など、被相続人との関係を証明できる書類を戸籍の代わりに用意し、日本語の認証翻訳を添付します。日本側の家族関係を確定させるための被相続人自身の戸籍は、この場合も引き続き必要です。ご自身の続柄でどの書類が受理されるかは事案によって異なるため、司法書士に確認してください。
何を相続したのか、まだ被相続人名義のままかを確認する
相続した内容について家族が把握している情報は、「実家」「田舎の土地」といった曖昧なものであることが多く、地番や正確な境界までは分からず、他の市区町村にも不動産を持っていたかどうかも定かでないのが普通です。2026年2月2日以降、最も網羅的に確認できるのは 所有不動産記録証明制度 です。全国どこの法務局でも、オンライン・郵送・窓口のいずれかの方法で、指定した氏名・住所で全国に登記されている不動産をリストアップした証明書を相続人が請求できます。手数料は請求方法により、書面請求で1通1,600円、オンライン請求・郵送受取で1,500円、オンライン請求・窓口受取で1,470円です。相続人は、死亡の事実と自分が相続人であることを示す書類を添えて請求します。
この検索は、入力した氏名・住所と登記簿上の記載が一致しないと結果に出てきません。そのため、被相続人が転居する前の古い住所や旧姓、字体の異なる氏名で登記されたままの不動産は、全国対応であっても見落とされることがあります。戸籍の附票 に記録されているのは、その戸籍が有効だった間の住所だけです。被相続人が過去に本籍地を他の市区町村へ転籍したことがある場合、それより前の住所は最後の本籍地の附票には載っておらず、以前の本籍地の役場が保管する除票(消除された附票)を別途取得する必要があります。判明している本籍地すべてについて附票(除票を含む)を取得し、過去の住所・旧姓もあわせて検索条件に加えることをおすすめします。ただし、平成26年6月19日以前に廃棄された記録は、その後の法改正(保存期間を150年に延長)でも復元されないため、古い住所については家族の書類や過去の郵便物、納税通知書なども突き合わせて確認してください。最後の住所・氏名だけで1回検索して終わりにしないでください。
これより古くからある、市区町村単位の手段が 名寄帳 です。その市区町村の資産税課(東京23区は都税事務所)に請求するもので、ある年の1月1日時点でその自治体内にその人の名義で登記されている不動産の一覧です。ただし、これは登記情報そのものではなく固定資産税の課税台帳をもとに作成されているため、網羅的な所有権調査の代わりにはなりません。その市区町村の外の不動産は表示されず、自治体の運用によっては非課税の不動産が漏れることもあり、1月1日時点のスナップショットのため、それ以降の変化も反映されません。それでも、確認すべき市区町村があらかじめ分かっている場合には有用な補完情報です。相続人は、死亡の事実と自分が相続人であることを示す戸籍を添えて郵送で請求でき、手数料は自治体によって異なりますが、それほど高額ではありません。確認したい市区町村ごとに、それぞれ請求が必要です。
所有不動産記録証明書や名寄帳、古い固定資産税の納税通知書、家族の書類などから住所や地番が分かったら、Japan Property Research の 無料の地番検索ツール で対象の区画のあたりをつけます。このツールは住所を地図上の参照点に変換し、その点を含む区画を返す仕組みのため、結果はあくまで手がかりであり、確定した一致とは限りません。土地の登記事項証明書(建物がある場合は建物の登記事項証明書も別途)を1通1,500円で取得したら、記載されている地番・面積・建物情報を名寄帳や納税通知書の内容と突き合わせて確認してください。甲区に表示される登記名義人は、多くの場合まだ被相続人本人か、それ以前の代の名義のままです。これは相続未登記の状態にあることの確認であり、あなた自身の登記義務の期限がすでに進行していることを意味します。
登録免許税とその他の費用
相続による所有権移転登記の登録免許税は、登録免許税法の税率表により、固定資産税評価額の 0.4%(1000分の4) が原則です。評価額を1,000円未満切り捨てにしたうえで税率を掛け、算出額の100円未満をさらに切り捨てて計算します。この計算結果が1,000円未満になる場合は、最低税額の 1,000円 が適用されます。評価額が低い建物では、下記の免税措置が土地にしか適用されないため、この1,000円の下限にかかることがある点に注意してください。これとは別に、評価額が 100万円以下の土地 については登録免許税が免除される時限措置があり、期限は延長を重ねて現在は令和9年(2027年)3月31日までとなっています。司法書士報酬は市場価格であり、相続人の人数や不動産の数によって変動するため、状況が固まった時点で見積もりを取ることをおすすめします。
海外から進める場合の実務的な順序です。
- 何を相続したのかをまず確認する。 全国どこの法務局でもオンライン・郵送・窓口で請求できる所有不動産記録証明書を取得すれば、被相続人名義の不動産を全国一括で確認でき、手数料は請求方法により1,500〜1,600円です。あわせて被相続人宛の固定資産税納税通知書も確認しましょう。確認すべき市区町村があらかじめ分かっている場合は、その市区町村の資産税課へ名寄帳を郵送で請求するのも補完的に有用ですが、名寄帳はその市区町村内しかカバーせず、全国確認の代わりにはならない点に注意してください。
- 対象の区画を特定し、現在の登記状況を確認する。 所有不動産記録証明書や名寄帳、納税通知書の住所を Japan Property Research の 無料の地番検索ツール にかけて地番のあたりをつけます(住所の参照点を含む区画を返す仕組みのため、結果は手がかりであり確定ではありません)。登記事項証明書を1,500円で取得し、記載内容を元の書類と突き合わせてください。甲区の名義がまだ被相続人(またはさらに前の代)のままかどうかがここで分かり、申請に必要な正確な物件情報も揃います。
- 相続人を確定させる書類一式を集める。 日本国籍がある場合は、被相続人の出生から死亡までの連続戸籍と自分の戸籍を、それぞれの本籍地の市区町村役場に郵送で請求します。2024年開始の広域交付制度は本人が日本国内の窓口に出向く必要があるため海外からは使えません。郵送1件ごとに数週間はみておきましょう。法定相続人ではあるが日本国籍がない場合は、自分自身の戸籍の代わりに、自国の出生証明書・婚姻証明書(認証翻訳付き)を用意し、あわせて被相続人自身の戸籍で日本側の家族関係を確定させます。
- 住所証明と、必要な場合は署名の認証を取得する。 住所証明はどのような分割方法でも必要ですが、署名の認証が必要になるのは、複数の相続人で遺産分割協議書を作成する場合など、申請自体がそれを求める場合だけです。どちらに該当するか、事前に司法書士に確認してください。日本国籍がある場合は、最寄りの日本大使館・総領事館で発給される在留証明書・(必要な場合は)署名証明書が、国内では取得できない住民票・印鑑証明書の代わりになります。日本国籍がない場合は、在外公館ではなく居住国の公証人による宣誓供述書・(必要な場合は)署名認証が必要になるのが一般的です。いずれにせよ、ここが遠隔では完結できない唯一のステップになることが多いです。
- 3年の期限内に本登記まで終えられるか判断する。 終えられそうであれば、相続人を確定させる書類が揃い、相続人が複数いる場合は遺産分割協議がまとまった時点で、司法書士に委任状ベースで登記申請を依頼すれば、渡航せずに進められます。期限が迫っていて相続人間の調整がまだ終わらない場合は、相続人申告登記を先に行いましょう。相続人の一人だけで手続きでき、本登記が整うまでの間、義務は履行したとみなされます。ただし、その後遺産分割協議がまとまった時点から新たに3年の期限が始まるため、すぐに売却する予定がないからといって、そのまま放置しないよう注意してください。
- 登録免許税と専門家費用を見込んでおく。 登録免許税は原則、固定資産税評価額の0.4%で、計算結果が1,000円未満の場合は最低税額の1,000円になります(評価額の低い建物で影響が出ることがあります)。評価額100万円以下の土地は、令和9年3月31日までの時限措置により非課税となります。相続人数や不動産の数が固まった段階で、司法書士に見積もりを依頼してください。
- 登記完了後、改めて登記事項証明書を取得する。 司法書士から登記完了の連絡を受けたら、あらためて1,500円で登記事項証明書を取得し、甲区にあなたの名義(相続人が複数いる場合は各共同相続人の名義と持分)が反映されているかを確認したうえで、保有・売却・賃貸のいずれにするかを検討します。
最もよくある失敗は、海外に住んでいて日本語も得意でないから実務的にできることは何もないと思い込み、期限をそのまま過ぎてしまうことです。上記のうち、本人出頭を伴う証明取得を除けば、すべて郵送や遠隔でも進められます。もう一つよくある誤解は、相続人申告登記をすれば手続きが完了したと考えてしまうことです。これは自分自身の申請義務を履行するものであって登記名義そのものは移らず、相続人間で遺産分割がまとまった時点から本登記完了までの新たな3年の期限が始まるため、これで放置してよいということにはなりません。
登記事項証明書から分かること・分からないことです。
- 確実に分かること: 甲区に表示される現在の登記名義人。これにより、被相続人やさらに前の代の名義のまま(相続未登記)かどうかが確認できます。また、土地・建物の正確な登記上の表示もここで確認できます。乙区に抵当権などの記録があれば調査する価値はあります(金融機関に残債の有無や、死亡時に団体信用生命保険で完済されていないかを確認してください)が、相続登記そのものを完了させるために解消しておく必要はありません。抵当権は通常そのまま相続人に引き継がれ、売却・借り換えをする場合や、すでに完済されている場合にのみ、別途、抹消登記が必要になります。
- 分からないこと: 誰が法定相続人なのか、相続人間で分割方法について合意できているか、進行中の登記申請がどこまで進んでいるか。これらは戸籍の記録や、相続人間・担当の司法書士とのやり取りで確認するものであり、登記事項証明書自体には表れません。
- 取得方法: 無料の地番検索ツール で住所または地番から対象の区画のあたりをつけます(住所の参照点を含む区画を返す仕組みのため、結果はあくまで手がかりです)。Japan Property Research で土地の登記事項証明書を1,500円で取得し、記載内容を所有不動産記録証明書や名寄帳、納税通知書と突き合わせてください。建物がある場合は建物の登記事項証明書も別途1,500円です。いずれもメールで届き、アカウントにも保存されるため、日本へ行かなくても司法書士と共有できます。
- そもそも何を取得すればいいか分からないとき: 登記事項証明書や地番検索ツールは、確認すべきおおよその場所がすでに分かっている前提で、区画ごとに使うものです。どの区画が存在するのかをまず把握するのは、全国対応の所有不動産記録証明制度(全国どこの法務局からでも請求可)や、市区町村単位の補完情報である名寄帳の役割です。名寄帳だけではその市区町村の外にある不動産は分かりません。
このガイドは、すでに相続したと考えている不動産を特定・確認し、相続人としての自分自身の登記義務を理解するためのものです。購入を検討している物件に未解決の相続の問題がないかを一般的な視点で確認したい場合は、日本の不動産の相続未登記を確認する方法(英語) をご覧ください。相続人が複数いて意見が分かれている場合や、家族関係が複雑で確認が難しい場合は、このガイドだけで判断せず、法務局または司法書士に個別の状況を確認してください。
FAQ
海外に住んでいても相続した不動産の登記義務はありますか? はい。海外在住であることは義務の有無に影響しません。2024年4月1日以降、日本の不動産を相続した人は、相続の開始と自分が所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます。
2024年の法改正より前に相続した場合はどうなりますか? この規定は遡って適用されます。施行日(2024年4月1日)より前にすでに相続の事実を知っていて未登記の場合、期限は令和9年(2027年)3月31日、または知った日から3年、のいずれか遅い方です。
相続登記のために日本へ行く必要がありますか? 申請そのものについては不要です。司法書士が委任状に基づいて申請できます。ただし、住所証明の取得には通常、本人が出向く必要があります(日本国籍があれば在外公館で、なければ居住国の公証人のもとで)。署名の認証も必要な場合(多くは複数の相続人で遺産分割協議書を作成するケース)は、同じ機会にあわせて取得することになるのが一般的です。
印鑑証明書(またはその海外版)は必ず必要ですか? いいえ。必要になるのは、複数の相続人が遺産分割協議書に基づいて登記する場合です。これには、全体の価値配分は法定相続分どおりであっても、特定の不動産を特定の相続人に割り付けるような分割方法も含まれます(価値配分そのものを変える場合に限りません)。この場合は各相続人の認証された署名が必要になります。相続人が一人だけの場合や、法定相続分どおりの共有のまま登記する場合、遺産分割協議書を作成せず遺言のとおりに相続する場合は、通常は不要です。住所を証明する書類(住民票やその代わりとなるもの)はどちらの場合でも必要です。
自分は法定相続人ですが日本国籍がありません。どうすればいいですか? ご自身の戸籍はなく、在外公館の署名証明・在留証明も基本的に利用できません(これらは原則として日本国籍者向けのサービスです)。代わりに、自国の出生証明書・婚姻証明書(日本語の認証翻訳付き)で被相続人との関係を証明し、住所や署名の証明は居住国の公証人による認証を利用します。具体的にどの書類が必要かは司法書士に確認してください。このルートは一般的に時間がかかります。
他の相続人との話し合いが終わらず期限に間に合わない場合はどうすればいいですか? 相続人申告登記を行ってください。相続人の一人が、他の相続人の同意なく単独で申出でき、本登記が整うまでの間、登記申請義務を履行したものとみなされます。ただし登記名義自体は移らないため、売却や抵当権設定には別途、本来の相続登記が必要です。
相続人申告登記をした後も、本登記の期限はありますか? はい、新たな期限があります。不動産登記法第76条の3第4項により、その後あなたと他の相続人との間で遺産分割が成立した場合、その内容に従った相続登記を分割の日から3年以内に申請する義務があり、これを怠ると同じく過料の対象になり得ます。相続人申告登記は分割協議をまとめる時間を稼ぐものであり、最終的に本登記を終える義務そのものをなくすものではありません。
親や祖父母が何を所有していたのかもよく分かりません。どう調べればいいですか? 2026年2月以降は、全国どこの法務局でも所有不動産記録証明書を請求すれば、指定した氏名・住所で全国に登記されている不動産をリストアップできます(手数料1,500〜1,600円)。ただし、入力した氏名・住所と登記簿の記載が一致しないと結果に出てこないため、その方が過去に持っていたすべての本籍地について戸籍の附票(除票を含む)を取得し、過去の住所や旧姓もあわせて検索条件に加えてください。最後の本籍地の附票だけでは、それより前の本籍地にあった古い住所は分かりません。確認すべき市区町村があらかじめ分かっている場合は、その市区町村の資産税課への名寄帳請求も補完として有用ですが、その市区町村内しか分からず、一部の非課税不動産が漏れることもあります。あわせて、その方宛の古い固定資産税納税通知書も手がかりになります。
関連ガイド:
- 法務省:相続登記の申請義務化について — 2024年4月1日の施行日、3年の期限、遡及適用時の令和9年3月31日という期限 — 法務省
- 法務省:相続登記の申請義務化に関するQ&A — 正当な理由なく申請しない場合の10万円以下の過料 — 法務省
- 法務省:相続人申告登記について — 相続人単独で行える簡易な暫定手続きとその限界 — 法務省
- 不動産登記法 第76条の2・第76条の3第4項 — 相続登記の申請義務と過料の根拠条文、および遺産分割後の新たな3年の登記期限 — e-Gov法令検索
- 法務省:外国に居住しているため印鑑証明書を取得することができない場合の取扱いについて — 印鑑証明書に代わる署名証明 — 法務省
- 外務省:在外公館における証明 — 在外公館が発給する署名証明・在留証明 — 外務省
- 法務省:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)— 戸籍の広域交付制度と、本人出頭が必要で郵送・代理人請求が対象外である点 — 法務省
- 法務省:所有不動産記録証明制度について — 令和8年2月2日施行の全国対応の証明制度、請求できる人、手数料 — 法務省
- 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表 — 相続による移転登記の税率0.4%(1000分の4)と最低税額1,000円 — 国税庁
- 相続登記の登録免許税の免税措置について(例:千葉地方法務局)— 評価額100万円以下の土地の免税措置、現行の期限(令和9年3月31日) — 千葉地方法務局(法務省)
- 住民票及び戸籍の附票等について — 消除された戸籍の附票の保存期間を150年に延長した令和元年の法改正、および改正前の5年ルールで廃棄された記録は復元されないこと — 総務省
補足:戸籍や名寄帳の請求に必要な書類・手数料・処理期間は自治体ごとに異なります。実際に郵送する前に、請求先の市区町村・区役所・町村役場に直接ご確認ください。司法書士報酬は市場価格であり、上記のいずれの情報源にも定めはありません。署名証明・在留証明に関する上記の情報源は、海外在住の日本国籍者を対象としたものです。日本国籍がない相続人の代替手段(居住国での公証・自国の身分証明書類)は、特定の政府文書に基づくものではなく実務上広く行われている方法のため、司法書士や提出先の法務局に具体的にどの書類が求められるかを確認してください。特定の申請に署名の認証(印鑑証明書相当)が必要かどうかは、遺産の分け方によって決まる個別判断であり、上記の情報源が一律の基準を定めているわけではないため、司法書士に確認してください。所有不動産記録証明書の請求で過去の住所・旧姓も検索条件に加えるべきという実務上のアドバイスと、過去の本籍地を含めて戸籍の附票(除票を含む)を取得することは、特定の政府文書に基づくものではなく実務上広く行われている方法です。抵当権が相続登記そのものの完了要件ではなく別途の抹消登記の対象であること、また登記完了後は共同相続人の名義と持分が記録されることは、不動産登記法上の通常の登記実務であり、特定の1ページの情報源に基づくものではありません。相続人が複数いる場合や、家族関係が複雑で確認が難しい相続については、このガイドだけで判断せず、法務局または司法書士(しほうしょし)に個別の状況を確認することをおすすめします。
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対象の土地・建物の登記事項証明書(登記簿)を Japan Property Research でオンライン取得すれば、登記上の所有者、権利関係、抵当権まで確認できます。登記は地番で請求するため、まず地図で対象地番を特定し、1通1,500円で申請してください。書類はメールで届き、アカウントにも保存されます。
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