土地が土砂災害警戒区域かどうかを確認する方法
全国の土砂災害警戒区域は721,014区域で、その86%はより厳しい特別警戒区域でもあります。警戒区域は通常の所有者に何も制限しませんが、特別警戒区域は開発行為を制限し、本来不要な建築確認を必要にすることがあり、居室のある建物を新築するときは外壁に構造の基準を課します。両者の違いと、対象地の確認手順を解説します。
日本には、土砂災害に関して正式に指定された区域が721,014区域あります。海外の買主の目に触れる安い土地の多くは、斜面の下、渓流の出口、あるいは山腹を削った造成地に位置しているので、対象地がこの区域に入るかどうかは絶えず問題になります。それ自体は見送る理由にはなりませんが、購入前に確かめる理由にはなります。指定には2種類があり、法律上の効果はまったく異なり、しかも軽く見えるほうがいちばん誤解されています。
どちらも同じ法律、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(以下「土砂災害防止法」)にもとづく指定です。土砂災害警戒区域は外側の区域で、国土交通省自身が指定状況の資料でイエローと表記しています。土砂災害特別警戒区域はその一部で、レッドと表記され、開発行為の制限がかかり、同じ住宅でも他の場所なら不要な建築確認が必要になることがあり、居室のある建物を新築するときは外壁に構造の基準がかかる区域です。
これらは用途地域のような都市計画上の区分ではなく、どちらも登記記録には一切あらわれません。都道府県知事が行い、公示によって効力を生ずる行政上の指定です。2026年6月末時点で指定されている警戒区域721,014区域のうち、621,287区域(86%)が特別警戒区域にも指定されています。斜面の上や下にある土地を検討しているなら、この論点が自分の対象地に当てはまる確率は、多くの買主が想像するよりかなり高いということです。
このガイドでは、それぞれの区域で何が制限され、何は制限されないのか、区域の線はどう引かれるのか、そして特定の土地について指定の有無を確認する手順を説明します。登記事項証明書を読んだことがない方は、まず日本の登記事項証明書の読み方(英語)からお読みください。
2つの区域と、法律上の「土砂災害」
法第2条は「土砂災害」を、4つの自然現象のいずれかを発生原因として国民の生命または身体に生ずる被害と定義します。急傾斜地の崩壊(同条は急傾斜地を傾斜度30度以上の土地と定義しています)、土石流、地滑り、そして河道閉塞による湛水です。前の3つは法律上「急傾斜地の崩壊等」と総称されます。
4つめはすぐに外れます。法第7条第1項は、2つの区域を定める章を通じて、河道閉塞による湛水を発生原因とするものを「土砂災害」から除いています。つまり警戒区域も特別警戒区域も、急傾斜地の崩壊・土石流・地滑りのいずれかを発生原因として指定されるものであり、どの原因について指定されたかが定められます。第7条第2項は、発生原因ごとに、指定の区域とその発生原因となる自然現象の種類を定めて指定すべきことを求めています。
- 土砂災害警戒区域(イエロー):法第7条。土砂災害が発生した場合に住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められ、警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域です。都道府県知事は、あらかじめ関係市町村長の意見を聴き、指定したときは公示し、公示事項を記載した図書を関係市町村長に送付します。
- 土砂災害特別警戒区域(レッド):法第9条。警戒区域のうち、土砂災害が発生した場合に建築物に損壊が生じ、住民等の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められ、一定の開発行為の制限と、居室を有する建築物の構造の規制をすべき土地の区域です。特別警戒区域は定義上、警戒区域の内側にあります。だからレッドの土地には、イエローの内容もすべて及びます。
特別警戒区域の指定は公示によって効力を生じます(法第9条第6項)。そして指定そのものが、設計者に必要な数値を確定させます。法第9条第2項および施行令第4条は、自然現象の種類、建築物に作用すると想定される最大の力の大きさ、土石等の高さまたは土石流の高さを、区域の区分ごとに定めることを求めています。
どのくらいあるのか、そしてこの数字が数えているもの
国土交通省が公表する全国の指定状況(2026年6月末時点)は、発生原因ごとに次のとおりです。
- 急傾斜地の崩壊:警戒区域482,534、うち特別警戒区域459,201。
- 土石流:警戒区域222,068、うち特別警戒区域162,085。
- 地滑り:警戒区域16,412、うち特別警戒区域1。
- 計:警戒区域721,014、うち特別警戒区域621,287。
物件情報を見る前に、この数字から3つ読み取っておくべきことがあります。
1つめ。警戒区域の指定は、たいていそこで終わりません。急傾斜地の崩壊による警戒区域の95%、土石流による警戒区域の73%が、特別警戒区域でもあります。警戒区域内の土地なら、都道府県が否定するまでは特別警戒区域かもしれないと考えておくのが実務的です。
2つめ。地滑りは例外であり、その例外が原則を裏づけます。全国に地滑りの警戒区域は16,412ありますが、地滑りの特別警戒区域は富山県に1つだけです。特別警戒区域の基準は建築物に作用する力の計算であり、ゆっくり動く地滑り地塊はその基準に達しにくいからです。
3つめ。区域は土地の筆ではありません。721,014という数字の1件ずつは、1つの斜面、1つの渓流、1つの地滑り地塊のまわりに描かれた区域であり、1つの区域が多数の物件を含むことも、1つの物件が複数の区域に入ることもあります。被害を受ける住宅の数と読んではいけません。
区域指定そのものは、ほぼ一巡しています。国土交通省は、従来の「土砂災害危険箇所」(昭和41年度以降に調査・公表してきた土石流危険渓流・地すべり危険箇所・急傾斜地崩壊危険箇所の総称)の掲載をやめ、こうした区域の調査・公表の仕組みは土砂災害防止法に引き継がれ、全国的に区域指定が一通り完了したため、今後は土砂災害警戒区域を使用すると明記しています。指定済みの警戒区域721,014は、同じ資料で基礎調査を実施し公表済みとされる726,539区域のほぼ全部にあたります。これは「指定されていない」という答えの読み方に関わります。20年前なら未指定の斜面は単に未調査だった可能性がありましたが、今は調査されたうえで指定されなかった可能性のほうが高いということです。
ただし、その答えは現時点のものにとどまります。指定の前提となる調査は繰り返されるからです。法第4条第1項は、都道府県が基本指針に基づきおおむね5年ごとに基礎調査を行うものとし、急傾斜地の崩壊等のおそれがある土地の地形・地質・降水等の状況と土地利用の状況を調査することとしています。同条第2項は、その結果を関係市町村長に通知し、公表しなければならないと定めます。指定はこれに伴って双方向に動きます。島根県の手引きは、その後の基礎調査によって警戒区域が特別警戒区域に変わりうること、そして住民が全く居住していない土地も特別警戒区域になりうること(基準は現に住宅が立地している土地だけでなく、将来の宅地開発の可能性がある土地も含むため)を確認しています。同じ手引きから、現地を見る前に知っておくべき点がもう2つあります。人工斜面も法の対象外ではありません。切土や盛土による斜面でも、急傾斜地の崩壊が自然現象として発生する可能性があれば対象になります。そして、現地への標識の設置は法律上求められておらず、指定は公示と図面によって行われます(島根県は現地に標識を設置していません)。つまり、現地に見えるものは何もないことがあります。この確認は、現地を歩いて済ませられる種類のものではありません。
警戒区域で制限されること:通常の住宅については、何もない
これがいちばん多い誤解で、しかも両方向に転びます。買主は警戒区域と聞いて過剰に不安になり、売主は形式的なものだと流します。どちらも正しくありません。
警戒区域の指定は、通常の所有者に対して、許可の取得も建築の制限も構造の基準も課しません。指定が動かすのは市町村の義務です。法第8条は、市町村防災会議が市町村地域防災計画において、警戒区域ごとに、土砂災害に関する情報の収集・伝達や予報・警報の発令・伝達、避難施設その他の避難場所と避難路、市町村長が行う避難訓練の実施、区域内の要配慮者利用施設の名称と所在地、救助に関する事項などを定めるものとしています。そのうえで同条第3項は、市町村長が、情報の伝達方法や避難場所・避難経路などを住民等に周知させるため、これらを記載した印刷物の配布その他必要な措置を講じなければならないと定めます。実務上これが市町村の土砂災害ハザードマップであり、国土交通省の集計では、警戒区域を指定または指定予定の1,602市町村のうち、ほぼ100%がハザードマップを公表し、基礎調査済み区域の96%が掲載済みです(いずれも2026年3月末時点)。
警戒区域で所有者側に生じる義務はひとつだけあり、範囲は狭いものです。法第8条の2により、法第8条第1項第4号にもとづいて市町村地域防災計画にその名称と所在地が定められた要配慮者利用施設(法の定義は、社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設)の所有者または管理者は、利用者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るための訓練その他の措置に関する計画を作成し、市町村長に報告し、その計画に定めるところにより訓練を実施しなければなりません。計画が作成されていない場合、市町村長は必要な指示をすることができ、正当な理由なく従わなかったときはその旨を公表することができます。住宅ではなく高齢者施設、診療所、幼稚園などを購入するのであれば、この条文は読み込んでおくべきです。
したがって、住宅の買主にとっての警戒区域の実際的な意味は情報です。都道府県がこの地盤を人の生命を奪いうるものと評価したこと、市町村のハザードマップがほぼ確実に存在すること、そして宅地建物取引業者に説明義務が生じることを示します。建てられなくなるわけではありません。ただし、真ん中の点には買主にとって不利な方向のずれがあります。市町村が公表していること自体はほぼ全国的ですが、2026年3月末時点で32,029区域(約4%)はまだ地図に掲載されていません。地図のレイヤに出てこないことは、指定がない証拠ではありません。だからこそ、権威ある確認先は地図ではなく、都道府県の指定に関する記録です。
特別警戒区域で制限されること:他人のための開発であり、自分が生活の本拠として住む住宅ではない
特別警戒区域には許可制があり、その範囲は、たいていの解説が示すよりずっと狭いものです。
法第10条第1項は、特定開発行為について、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならないと定めます。「特定開発行為」は2つの要素を同時に満たすものです。
- 都市計画法第4条第12項の開発行為、すなわち主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更であること。
- 予定建築物の用途が制限用途であること。
法第10条第2項は制限用途を二重否定で定義しており、結果として次のようになります。制限用途とは、自己の居住の用に供するものを除く住宅と、政令で定める社会福祉施設・学校・医療施設です。
この「自己の居住の用」の除外は、語感より狭いものです。海外から日本の不動産を購入する方にとっては、ここがいちばん重要です。各都道府県の手引きは、自己の居住の用を「自らの生活の本拠として使用する」ことと解しています。島根県の手引きは、これに該当しないものとして、寮・社宅、組合が組合員に譲渡することを目的とした住宅、そして別荘を挙げ、別荘は生活の本拠とは考えられないため該当しないと明記しています。静岡県も反対側から同じ形を示し、自己用以外の住宅の例として住宅分譲・マンション・社員住宅を挙げています。つまり、特別警戒区域内の別荘は制限用途にあたり、その建築のために土地の区画形質の変更を行うのであれば、知事の許可が必要です。島根県の手引きは、この線引きの理由も説明しています。他人の利用のための開発を特別警戒区域内で行うことは、他人が危険に接近することを幇助し、または強いることになり、自己のために行う行為とは社会的な責任の重さが違うからです。施行令第6条がその範囲を定めており、老人福祉施設・有料老人ホーム・障害者支援施設・保護施設・児童福祉施設・母子父子福祉施設などの各施設、学校については特別支援学校および幼稚園のみ(通常の小中学校や高校は含まれません)、そして病院・診療所・助産所です。施行令第5条は、非常災害のために必要な応急措置として行う開発行為と、仮設建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為を適用除外としています。
あわせて読むと、自らの生活の本拠として住む住宅を特別警戒区域内に建てることは、そもそも特定開発行為ではなく、法第10条の許可は不要です。分譲や賃貸のための住宅を建てることは該当します。高齢者施設や診療所を建てることも該当します。さらに、土地の区画形質の変更がなければ開発行為そのものがないので、たとえば既存の宅地に建てる場合は、賃貸用住宅でも法第10条はかかりません。
許可が必要な場合、法第19条は、工事完了の公告があるまで、許可を受けた開発区域(特別警戒区域内のものに限る)内の土地において制限用途の建築物を建築してはならないと定めます。罰則も軽くありません。法第38条は、許可を受けずに特定開発行為をした者、第19条に違反して制限用途の建築物を建築した者、第21条第1項の監督処分としての命令に違反した者を、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処します。法第42条は、区域指定の際すでに工事に着手していた者が法第14条第1項の届出をせず、または虚偽の届出をした場合に、20万円以下の過料を定めます。
都市計画法は、これを別の側から補強します。同法第33条第1項第8号は、主として自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為以外の開発行為について、開発区域内に「災害危険区域等」の土地を含まないことを開発許可の基準とし、この災害危険区域等に土砂災害特別警戒区域を明記しています。ただし、開発区域およびその周辺の地域の状況等により支障がないと認められるときは、この限りでないという但し書きがあります。同じ「自己の居住の用に供する住宅」という文言を用いているので、上記の「生活の本拠」の解釈はこちらにも及びます。但し書きもあるため、どちらも絶対的な禁止と読まないことが大切です。
それでも自分の住宅に及ぶこと
2つあり、どちらも費用に直結します。
本来不要な建築確認が必要になることがあります。 法第25条は、特別警戒区域内の居室(建築基準法第2条第4号)を有する建築物を、建築基準法第6条第1項第3号にもとづき都道府県知事が指定する区域内の建築物とみなして、同法第6条から第7条の5まで、第18条、第89条、第91条、第93条の規定(罰則を含む)を適用します。なお、このみなし規定は、もともと確認が必要な場合を除く書き方になっています。特別警戒区域のうち建築基準法第6条第1項第3号に規定する区域である部分は除かれ、建築物のうち同項第1号または第2号に掲げるものも除かれます。効果がもっとも大きいのは地方の土地です。建築確認は通常、建築基準法第6条第1項により、床面積200平方メートル超の特殊建築物(第1号)、2以上の階数を有するか延べ面積200平方メートル超の建築物(第2号)、そのほかは都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区または知事指定区域内の建築物(第3号)に及びます。都市計画区域外にある平屋で200平方メートル以下の住宅は、通常は建築確認が不要です。
特別警戒区域でもそれが不要のままかどうかは、敷地のどれだけが区域内にあるかで決まります。境界にかかる土地では、ここを正確に押さえてください。法第25条が適用する規定には建築基準法第91条が含まれており、同条は、建築物の敷地がこの法律による制限を受ける区域の内外にわたる場合、その建築物または敷地の全部について敷地の過半が属する区域の規定を適用すると定めています。沖縄県の建築行政の案内は、組み合わせた結論を明確に示しています。居室を有する建築物の全部または一部が特別警戒区域内にあり、かつ敷地の過半が特別警戒区域内にある場合に、建築確認申請が必要になります。なお、防火地域・準防火地域外で床面積10平方メートル以内の増築・改築・移転についての建築基準法第6条第2項の除外は、同条の中にあるため、第6条とともに適用されます。
一方、構造の規制は敷地の過半では決まりません。この2つを混同するのが避けるべき誤りです。同じ沖縄県の案内は、敷地の過半が区域外で建築確認が不要な場合であっても、建築物の全部または一部が特別警戒区域内にあるときは構造の規制を受けると注記しています。
新築するときは、外壁に衝撃に耐える設計が要求されます。 法第24条は、建築基準法第20条第1項にもとづく政令において、居室を有する建築物の構造耐力に関する基準を定めるものとしており、これを受けて建築基準法施行令第80条の3が定めています。居室を有する建築物の外壁および構造耐力上主要な部分のうち、指定で定められた土石等の高さ等以下の部分で、かつ自然現象により衝撃が作用すると想定される部分について、自然現象の種類、最大の力の大きさ等、土石等の高さ等に応じ、想定される衝撃が作用しても破壊を生じないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いなければなりません。工事費を見積もる前に知っておくべき但し書きもあります。土石等の高さ等以上の高さの門または塀(同等以上の耐力を有するものとして大臣が定めた構造方法によるものに限る)が、想定される衝撃を遮るように設けられている場合には、この基準は適用されません。建物本体ではなく、遮る壁で対応する選択肢があるということです。構造方法そのものは国土交通省告示(平成13年国土交通省告示第383号)に定められており、設計者はこれにもとづいて設計します。
この基準は建築行為についての規制であり、既存の住宅に対する改修命令ではありません。すでに建っている住宅を購入する場合には、この区別が重要です。建築基準法第3条第2項により、規定の施行または適用の際すでに存在していた建築物が当該規定に適合しない場合、その規定は適用されません。つまり、住宅が建てられたあとに特別警戒区域が指定されたのであれば、その住宅は違法建築ではなく既存不適格となり、それだけで所有者に外壁の改修義務が生じることはありません。ただしこの扱いは永続的ではありません。同法第3条第3項第3号は、規定の適用後に工事に着手する増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替について、この保護を外します。つまり基準は、新築するとき、増築するとき、建て替えるときに満たすものです。国土交通省は、まさにこうした特別警戒区域内の既存不適格建築物を対象とした補助の制度を設けており、この状況が決して珍しくないことがうかがえます。
ただし、この「外れる」もまた結論ではありません。限られた工事を予定している所有者が費用を大きく見積もり過ぎるのは、ここです。同法第86条の7第1項は、第3条第2項により第20条の適用を受けない建築物について、政令で定める範囲内で増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をする場合、第3条第3項(第3号および第4号に係る部分)にかかわらず第20条を適用しないと定めています(増築・改築については、工事後の建築物の構造方法が政令で定める基準に適合する場合に限られます)。特別警戒区域の外壁の基準は法第20条第1項にもとづく政令で定められているので、この緩和はそこにも及びます。
該当する範囲は工事の種類ごとに別に定められており、費用を見積もる前に押さえるべきはここです。増築・改築は建築基準法施行令第137条の2で、同条の構造の基準に適合することが条件です。大規模の修繕・大規模の模様替は同令第137条の12第1項で、その範囲は広く、当該建築物の構造耐力上の危険性を増大させないすべての大規模の修繕・大規模の模様替が対象です。移転は別の経路で、法第86条の7第4項および同令第137条の16によります。こちらは法第20条だけでなく建築基準法令の規定全般に及び、同一敷地内における移転、または交通上・安全上・防火上・避難上・衛生上および市街地の環境の保全上支障がないと特定行政庁が認める移転が対象です。特別警戒区域の基準への適合が避けられないという前提で費用を見積もる前に、自分の工事がどの範囲に当たるかを建築主事等に確認してください。
建築以外では、法第26条により、都道府県知事は、特別警戒区域内の居室を有する建築物に損壊が生じ著しい危害が生ずるおそれが大きいと認めるときは、所有者・管理者・占有者に対し、建築物の移転その他必要な措置をとることを勧告することができます。これは命令ではなく勧告であり、同条第2項は、必要と認めるときは土地の取得についてのあっせんその他必要な措置を講ずるよう努めなければならないと定めています。出口もあります。法第9条第8項は、土砂災害の防止に関する工事の実施等により指定の事由がなくなったと認めるときは、知事は特別警戒区域の全部または一部について指定を解除するものとすると定めます。日本の土地に関する指定のなかでは珍しく、斜面の物理的な状態に明確に連動した仕組みです。
混同しやすい4つの別の指定
日本の斜面規制は制度が重なっており、名称も似ています。島根県の手引きが示す整理が役に立ちます。以下の古い制度は多くが原因地対策であり、崩れるおそれのある土地と、崩壊を助長・誘発しうる行為を対象とします。これに対し土砂災害防止法の2区域は、崩れた場合に被害を受ける範囲を示すものです。それぞれ個別に確認してください。
- 急傾斜地崩壊危険区域(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、以下「急傾斜地法」)。同法第3条により、都道府県知事は、崩壊するおそれのある急傾斜地でその崩壊により相当数の居住者等に危害が生ずるおそれのあるものおよびこれに隣接する土地の区域を指定できます。第7条は、水を放流し停滞させる等の浸透を助長する行為、急傾斜地崩壊防止施設以外の施設・工作物の設置または改造、のり切・切土・掘削・盛土、立木竹の伐採、木竹の滑下・地引による搬出、土石の採取・集積について、知事の許可を必要とします。施行令第2条の適用除外は3種類あり、規模によるものはそのうち1つだけです。まず、一定の水の利用はそれ自体が除外されます(水田への放流・停滞、かんがいのための放流、日常生活のための放流、用排水路への放流、ため池その他の貯水施設への放流・貯留)。次に、除伐や倒木竹・枯損木竹の伐採も除外されます。そして規模によるもの(急傾斜地の下端に隣接する区域での高さ50センチメートル以下の切土または深さ50センチメートル以下の掘削で下端から2メートル以上離れた土地で行うもの、高さ2メートル以下の盛土など)、さらに鉄道・鉱業・土地改良・採石など、他の法令で認可等を受けた工事に係る行為が広く除外されています。小規模でないからといって許可が必要とは限らないので、一覧を確認してください。指定の際すでに着手している者は14日以内に届出が必要です。建物の用途ではなく土地への工作を規制する制度であり、国土交通省は許可に関する規定が都道府県の条例等により定められていると説明しています。買主にとっての実務的な意味は、この区域内の造成工事には通常許可が必要になるということです。
- 災害危険区域(建築基準法第39条)。地方公共団体(都道府県または市町村)は、条例で、津波・高潮・出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができ、同じ条例が建築の制限を定めます。その制限は住居用建築物の建築禁止にまで及びえます。住宅を本当に建てられなくしうるのはこの指定ですが、どの団体が指定するかは地域によって異なります。たとえば大阪府は、大阪府建築基準法施行条例により、災害危険区域を「急傾斜地崩壊危険区域および急傾斜地崩壊危険区域以外の区域で急傾斜地の崩壊による危険の著しい区域として知事が指定するもの」と位置づけており、府内の一部については市の条例にもとづくものもあります。土砂災害の区域とは別の照会であり、その地域で指定しているのがどちらの団体かを確かめる必要があります。
- 宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域(宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法)。災害のおそれそのものではなく、盛土や切土の工事を規制する制度です。対象地に造成の形跡があるなら、この制度も確認してください。
- 造成宅地防災区域(同法第45条)。重要事項説明の項目としても、上記とは別の号に置かれています。
重要事項説明と、誰も説明義務を負わない取引
対象地が警戒区域内にあるかどうかは、宅地建物取引業者が契約前に行う重要事項説明の法定項目です。宅地建物取引業法第35条第1項第14号が命令に委ねており、その区分は契約類型ではなく相手方による区分です。イは、事業を営む場合以外の場合に宅地または建物を買い、または借りようとする個人である相手方等の利益の保護に資する事項を定める場合で、国土交通省令・内閣府令に委ねられ、ロはそれ以外の事項で国土交通省令に委ねられます。いずれも同じ規定に行き着き、同法施行規則第16条の4の3第2号が「法第7条第1項により指定された土砂災害警戒区域内にあるときは、その旨」を掲げています。第2号は、同条が列挙する4つの契約類型(宅地の売買・交換、建物の売買・交換、宅地の貸借、建物の貸借)のすべてに適用される範囲に入っています。特別警戒区域は必ず警戒区域の内側にあるので、この号はレッドも捉えます。
特別警戒区域の制限は別の入口から来ます。同法第35条第1項第2号が政令で定める法令に基づく制限を対象とし、同法施行令第3条第1項が土砂災害防止法第10条第1項および第17条第1項を掲げています(宅地または建物の貸借以外の契約について)。同じ一覧には急傾斜地法の制限も掲げられています。
ここに頼りきれない理由が2つあります。義務を負うのは宅地建物取引業者なので、業者が関与しない個人間の直接売買(自治体の空き家バンク掲載物件で珍しくありません)では、誰もこの説明義務を負いません。そして説明は契約前であり、買主が知りたい時期よりは遅いのが通常です。確認は自分の仕事と考えてください。
特定の土地について確認する手順です。
- まず地番を確定する。 区域の境界は地理的なもので、地図に対して公示されます。だから対象地の位置を正確に特定する必要があり、地方の斜面地には住所がないことも多いです。無料の地番検索と地番の調べ方のガイドが、この段階の説明です。
- 全国ポータルで一次スクリーニングし、そこで信用をやめる。 ハザードマップポータルサイトは土砂災害の区域を全国の地図に重ねて表示でき、国土交通省自身も住民向けにここで確認するよう案内しています。最初に見る場所としては正しく、最後に見る場所としては間違っています。ポータルのレイヤは定期的に更新される縮尺のある図であり、知りたいのは「特定の筆の境界が特定の区域の境界の内側にあるか」です。
- 指定した都道府県にあたる。 指定権者は都道府県知事です。国土交通省は各都道府県の土砂災害情報へのリンク集を維持しており、多くの県が区域の閲覧システムを公開しています。指定は国土数値情報としてGISデータでも公開されています。都道府県の砂防主管課(名称は県により異なります)に、警戒区域内か、特別警戒区域内か、3つの発生原因のどれについて指定されたのかを確認してください。
- 市町村の事務所にある図書の縦覧を求める。 法第9条第5項は、特別警戒区域の指定について公示事項を記載した図書を関係市町村長に送付することを知事に義務づけ、同条第7項は、市町村長がその図書を当該市町村の事務所において一般の縦覧に供しなければならないと定めています。この縦覧の仕組みは特別警戒区域について書かれたものです。警戒区域についても法第7条第5項が図書の送付を求めていますが、第7条は縦覧の義務を定めていないので、窓口で縦覧できる前提に立たず、都道府県または市町村に直接確認してください。
- レッドなら、敷地のどれだけが区域内かを聞き、そのうえで数値をもらう。 区域の境界が敷地を横切る土地では、敷地のうち区域内にある割合が、そもそも建築確認が必要かどうかを決めます(法第25条が適用する建築基準法第91条)。一方、外壁の基準は建築物の一部でも区域内にあるかどうかで決まります。可否の一言ではなく、自分の敷地に対する区域の境界を都道府県に確認してください。そのうえで、法第9条第2項および施行令第4条により、その区域の区分について定められた自然現象の種類、最大の力の大きさ等、土石等の高さ等を確認してください。この3つが施行令第80条の3の構造の要求の入力値であり、これがないと設計者は外壁の工事費を出せません。同じ区域でも土地によって工事費が大きく変わる理由もここにあります。あわせて、施行令第80条の3の但し書きによる門または塀で遮る方法を、その県が実際に認めているかも聞いてください。
- 抽象的に聞かず、自分の計画を伝える。 有益な質問は「ここはレッドですか」ではなく「自分が建てようとしているものは特定開発行為になりますか」です。自らの生活の本拠として住む住宅なら該当しません。別荘は該当します(手引きは別荘を生活の本拠とみなしません)。同じ住宅を賃貸や分譲にするなら、土地の区画形質の変更を伴う場合は該当します。民泊、高齢者施設、診療所、幼稚園なら答えはまた変わります。照会の際は予定用途を文書で示し、その住宅が自分の生活の本拠になるのかどうかを明確に伝えてください。許可が必要かどうかは、この一点で決まります。
- 災害危険区域の条例は別に聞き、しかも両方に聞く。 建築基準法第39条の災害危険区域は地方公共団体の条例による指定で、地域によって都道府県の場合も市町村の場合もあり、住居用建築物の建築を禁止することもできます。大阪府は府条例で指定し、急傾斜地の崩壊の危険に結びつけていますが、他の地域では市が指定します。土砂災害の区域の回答にも、全国ポータルの土砂災害レイヤにも出てきません。都道府県の建築指導課と市町村の建築指導課の両方に確認し、一方が他方を代弁していると考えないでください。
- 重要事項説明は項目名を指定して求め、それに頼らない。 宅地建物取引業者が関与するなら、施行規則第16条の4の3第2号の記載と、第35条第1項第2号の開発に関する制限の記載を名指しで求めてください。業者が関与しない直接売買では、どちらも誰の義務でもありません。
- 答えを契約書に落とす。 購入が「意図する建物を建てられること」に依存するなら、都道府県と市町村からの書面による確認を停止条件とし、期限を切ってください。「この区域は問題にならない」という売主の言葉は、建築確認が下りなかったときに何の役にも立ちません。
いちばん多い間違いは、イエローとレッドを同じ制限の強弱だと読むことです。両者は別の道具で、警戒区域は市町村の警戒避難体制を規律し、特別警戒区域は開発・建築確認・構造を規律します。2つめの間違いはその裏返しで、レッドなら建てられないと思い込むことです。自ら住む住宅であれば通常は建てられます。代わりに向き合うのは、本来は不要だったかもしれない建築確認、居室のある建築物の一部でも区域内にあるときの衝撃に耐える外壁の仕様、そして都道府県が「建築物を壊しうる」と公式に評価した斜面です。4つめの間違いもここに並べておきます。建築確認の要否と外壁の基準を一つの規制として読むことです。建築確認は敷地の過半で決まり、外壁の基準は建築物で決まるので、境界にかかる土地では、建築確認は不要でも構造の規制だけがかかることがあります。3つめは、未指定の斜面を安全な斜面と読むことです。指定には調査が必要で、基準は幾何学的です。30度をわずかに下回る斜面や、流域面積が5平方キロメートルをわずかに超える渓流は、安全になることなく基準の外に出ます。
この論点について、登記事項証明書でわかること・わからないこと。
- 確実にわかること:地番、登記上の地目、登記地積、現在の所有者、抵当権・差押えその他の登記された権利関係(いずれも証明書の作成日時点)。斜面地では所有関係の確認がふだんより重要です。相続された山腹の土地は、亡くなった先代のままで登記されていることがよくあります。
- わからないこと:2つの区域について、何もわかりません。土砂災害警戒区域も土砂災害特別警戒区域も、登記記録には記録されません。どちらも都道府県知事の公示によって効力を生じ、都道府県の指定に関する記録と、市町村に送付された図書に存在します。登記記録がきれいでも、土砂災害の指定については一切わかりません。地目も答えになりません。宅地であることは、指定を免れた証拠ではありません。
- 区域の記録でもわからないこと:その土地について法第10条の許可が申請・許可・不許可とされたことがあるか、現在の所有者に法第26条の移転等の勧告がされているか、建築基準法第39条の条例(都道府県または市町村)が何を上乗せしているか。いずれも名指しで照会してください。
- 取得方法:無料の地番検索で対象の筆を特定し、土地の登記事項証明書を1,500円で取得してください。建物がある場合は、日本では土地と建物が別に登記されるので、建物の登記事項証明書も別に取得します。いずれもメールで届き、アカウントに保存されます。手順は英語での登記事項証明書の取得ガイド(英語)で説明しています。
登記事項証明書はハザードの論点については沈黙していますが、それでも最初の一手として正しいものです。都道府県に意味のある照会をする前に、地番、地積、所有関係が必要になるからです。区域の照会は位置に対して行うものであり、その位置を確定させるのが登記記録です。両方を実行し、結果を接道・境界・用途地域とあわせてデューデリジェンス・チェックリストに記録してください。この確認が組み込まれる広い地図調査については、用途地域とハザードマップの確認方法をご覧ください。
指定があり、かつ建てられるかどうかに購入が依存する場合は、都道府県の砂防主管課と市町村の建築指導課に書面で確認し、施行令第80条の3の構造の要求については建築士に相談してから契約してください。筆の境界と区域の境界の関係が問題になる場合は、土地家屋調査士が適切な専門家です。
よくある質問
土砂災害警戒区域に指定されていると、住宅は建てられないのですか。 いいえ。警戒区域の指定は、通常の所有者に対して許可の取得も建築の制限も構造の基準も課しません。法律上の効果は、市町村が法第8条により警戒避難体制を市町村地域防災計画に定め、これを住民等に周知することと、宅地建物取引業者が契約前に指定の有無を説明することです。読み取るべきは、都道府県がこの地盤を人に危害を及ぼしうると評価したこと、そしてその区域が市町村のハザードマップにほぼ確実に載っていることです。ただし2026年3月末時点で基礎調査済み区域の約4%はまだ掲載されていないので、地図のレイヤに出てこないことを答えとせず、都道府県の指定に関する記録で確認してください。
土砂災害特別警戒区域に自分の家を建てられますか。 自らの生活の本拠として住むのであれば、原則として建てられます。その場合、法第10条の開発許可は適用されません。法第10条第2項の制限用途は、自己の居住の用に供するものを除く住宅と、施行令第6条が定める社会福祉施設・特別支援学校・幼稚園・医療施設だからです。ただし海外から購入する場合はこの除外の範囲に注意してください。各都道府県の手引きは自己の居住の用を「自らの生活の本拠」と解し、島根県の手引きは別荘を明確にこれに含めていません。特別警戒区域内の別荘は制限用途であり、土地の区画形質の変更を伴うなら許可が必要です。そのうえで、2点が変わります。2つめは、本来不要な建築確認が必要になりうること、そして外壁に構造の基準がかかることです。法第25条により、特別警戒区域内の居室を有する建築物は建築基準法第6条第1項第3号の知事指定区域内の建築物とみなされ、同時に第91条も適用されるので、建築確認の要否は敷地の過半が属する区域にしたがいます。境界にかかる土地で敷地の過半が区域外であれば、この経路から建築確認の義務は生じません。構造の規制はこれとは別で、より厳しく働きます。建築物の一部でも区域内にあれば、建築確認の要否にかかわらず、外壁および構造耐力上主要な部分は建築基準法施行令第80条の3の構造方法に適合しなければなりません(但し書きの要件を満たす門または塀で衝撃を遮る場合を除きます)。構造の費用を予算に見込み、設計者に見積もりを頼む前に、指定で定められた最大の力の大きさ等と土石等の高さ等を都道府県から入手してください。
すでに特別警戒区域内に建っている住宅を買います。外壁を改修しなければならないのですか。 所有の条件としては必要ありません。建築基準法第3条第2項は、規定の適用の際すでに存在していた建築物を当該規定の適用外としているので、特別警戒区域の指定より前に建てられた住宅は違法建築ではなく既存不適格となり、施行令第80条の3は改修命令ではありません。国土交通省もこうした建築物を一つの類型として扱い、補助の制度を設けています。この扱いが終わりうるのは工事をするときです。同法第3条第3項第3号は、規定の適用後に着手する増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替について保護を外します。それでも残る場合があります。同法第86条の7第1項は、外壁の基準の根拠である第20条について、工事の種類ごとに施行令が定める範囲内であれば適用しないままとしています。増築・改築は施行令第137条の2(同条の構造の基準に適合することが条件)、大規模の修繕・大規模の模様替は同令第137条の12第1項(構造耐力上の危険性を増大させないものすべて)です。移転は法第86条の7第4項および同令第137条の16という別の経路になります。自分の工事がどの範囲に当たるかを建築主事等に確認してください。購入時に外壁の作り直しが必要になるとも、何も求められないとも、決めつけないことです。
指定は登記事項証明書に出ますか。 出ません。どちらの区域も登記記録にはあらわれません。指定は都道府県知事が行い、公示によって効力を生じ、その記録は都道府県と、市町村に送付された図書にあります。それでも登記事項証明書は最初に取得すべきものです。都道府県に照会するために必要な地番・地積・所有関係がわかるからです。
急傾斜地崩壊危険区域との違いは何ですか。 法律が違い、規制の対象が違います。急傾斜地崩壊危険区域は急傾斜地法第3条にもとづく指定で、同法第7条が、崩壊を助長・誘発するおそれのある行為、すなわち水の放流・停滞、急傾斜地崩壊防止施設以外の施設・工作物の設置または改造、のり切・切土・掘削・盛土、立木竹の伐採、土石の採取・集積などについて知事の許可を必要とします。施行令の適用除外は小規模な行為だけではなく、一定の水の利用、除伐や倒木竹・枯損木竹の伐採、規模による除外、他の法令で認可等を受けた行為に及びます。斜面に対して何をするかを規制する制度です。土砂災害防止法の2区域は、警戒避難体制と、特別警戒区域における開発および建築物の構造を規制します。1つの土地が両方に入ることもあり、片方だけを聞くと片方だけの回答が返ってくるので、それぞれ確認してください。
指定は解除されますか。 特別警戒区域は解除されます。しかも法第9条第8項は、土砂災害の防止に関する工事の実施等により指定の事由がなくなったと認めるときは、知事が全部または一部について指定を解除するものとすると定めており、条文はかなり強い書き方です。通常は砂防工事の完成後ということになります。警戒区域については、法第7条第6項が解除に指定の手続を準用しますが、同様の義務規定は置かれていません。工事が実際に予算化され事業として位置づけられていることを都道府県が確認しない限り、解除を前提に購入の計画を立てないでください。
特別警戒区域から強制的に立ち退かされることはありますか。 ありません。法第26条が定めるのは、著しい危害が生ずるおそれが大きいと認めるときに、居室を有する建築物の所有者・管理者・占有者に対して移転その他の措置を勧告する権限です。勧告は命令ではなく、同条第2項は、必要と認めるときに土地の取得についてのあっせんその他必要な措置を講ずるよう努める義務を知事に課しています。
指定によって評価額が下がった場合、補償はありますか。 ありません。島根県の手引きはこの点に直接答えています。指定は、その土地がもともと持っている地形や地質という自然の危険性を明らかにし、開発や建築に必要最小限の規制を行うものであり、指定の結果として地価が下落したとしても、それに対する補填等の措置は基本的にないとされています。指定は購入する土地の地盤についての情報と考え、後から補填されることを期待せず、提示する価格に反映させてください。
区域に指定されていない土地なら安全ですか。 そうとは限りません。これは楽観側の罠です。基準は幾何学的です。施行令第2条は、急傾斜地の崩壊について、傾斜度30度以上で高さ5メートル以上の急傾斜地と、その上端から水平距離10メートル以内、下端からは急傾斜地の高さの2倍(50メートルを超える場合は50メートル)以内の区域を基準とし、土石流について、上流の流域面積5平方キロメートル以下の勾配の急な渓流のうち扇状地形への流入地点より下流の部分および隣接する区域で、計測した土地の勾配が2度以上のものを基準とし、地滑りについて、地滑り区域とこれに隣接する、地滑り方向に最大250メートルまでの区域を基準としています。基準をわずかに外れる地盤は、指定の外に出るだけで、危険の外に出るわけではありません。また、その答えは現時点のものにとどまります。指定の前提となる基礎調査は法第4条第1項によりおおむね5年ごとに行われるので、今は指定されていない土地が後に指定されることもあり、警戒区域がその後の調査で特別警戒区域に変わることもあります。指定だけでなく、市町村のハザードマップと地形も読んでください。
実際にどこに電話すればよいですか。 指定の有無・発生原因・自分の敷地に対する区域の境界・特別警戒区域の力と高さの数値は、都道府県の砂防主管課。建築確認は市町村の建築指導課。災害危険区域の条例は、都道府県と市町村の建築関係の部署の両方(どちらが指定しているかは地域によります)。ハザードマップと避難に関することは、市町村の防災担当課です。1つめを探すには、国土交通省の都道府県別リンク集がいちばん早いです。
関連ガイド:
- e-Gov法令検索:土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号):デジタル庁 e-Gov法令検索。第2条(土砂災害の定義と傾斜度30度)、第4条(おおむね5年ごとの基礎調査と結果の公表)、第7条(警戒区域の指定、発生原因ごとの指定、公示と図書)、第8条(市町村地域防災計画の記載事項と住民への周知)、第8条の2(要配慮者利用施設の避難確保計画)、第9条(特別警戒区域の指定、定める事項、公示による効力、市町村事務所での縦覧、解除)、第10条(特定開発行為の制限と制限用途)、第19条(工事完了の公告までの建築制限)、第24条・第25条(構造耐力の基準と建築基準法の適用)、第26条(移転等の勧告とあっせん)、第38条(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、第42条(20万円以下の過料)。
- e-Gov法令検索:土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律施行令(平成13年政令第84号):デジタル庁 e-Gov法令検索。第2条(警戒区域の指定基準:傾斜度30度・高さ5メートル、上端から10メートル、下端から高さの2倍かつ50メートル、流域面積5平方キロメートル以下と勾配2度、地滑りの250メートル)、第3条(特別警戒区域の指定基準)、第4条(指定で定める力の大きさと土石等の高さ)、第5条(適用除外)、第6条(制限用途となる社会福祉施設・学校・医療施設)。
- e-Gov法令検索:建築基準法(昭和25年法律第201号):デジタル庁 e-Gov法令検索。第3条第2項・第3項(既存不適格と、増築・改築・移転・大規模の修繕・大規模の模様替による保護の消滅)、第6条第1項(建築確認を要する3つの区分)・第2項(10平方メートル以内の除外)、第39条(地方公共団体の条例による災害危険区域)、第86条の7第1項(既存不適格建築物の一定の工事について、第3条第3項第3号・第4号にかかわらず第20条を適用しないこと)・第4項(一定の移転について建築基準法令の規定全般を適用しないこと)、第91条(敷地が区域の内外にわたる場合の過半による適用)。
- e-Gov法令検索:建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第80条の3:デジタル庁 e-Gov法令検索。特別警戒区域内の居室を有する建築物の構造方法と、門または塀による但し書き(第80条の3)、法第20条の適用を受けない建築物の増築・改築についての範囲と基準(第137条の2)、大規模の修繕・大規模の模様替について構造耐力上の危険性を増大させないもの(第137条の12第1項)、および移転について対象となる範囲(第137条の16)。
- e-Gov法令検索:都市計画法(昭和43年法律第100号):デジタル庁 e-Gov法令検索。第4条第12項(開発行為の定義)、第33条第1項第8号(災害危険区域等と自己居住用の除外、但し書き)。
- e-Gov法令検索:宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号):デジタル庁 e-Gov法令検索。第35条第1項第2号(政令で定める法令に基づく制限)および第14号イ・ロ(相手方による区分と委任先の命令)。
- e-Gov法令検索:宅地建物取引業法施行規則(昭和32年建設省令第12号)第16条の4の3:デジタル庁 e-Gov法令検索。第2号(土砂災害警戒区域内にあるときの説明)および各号が適用される契約類型。
- e-Gov法令検索:宅地建物取引業法施行令(昭和39年政令第383号)第3条第1項:デジタル庁 e-Gov法令検索。重要事項説明の対象となる土砂災害防止法および急傾斜地法上の制限。
- e-Gov法令検索:急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号):デジタル庁 e-Gov法令検索。第3条(急傾斜地崩壊危険区域の指定)、第7条(制限行為、許可、14日以内の届出)。
- e-Gov法令検索:急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律施行令(昭和44年政令第206号)第2条:デジタル庁 e-Gov法令検索。許可を要しない行為と小規模工事の数値基準。
- 島根県:土砂災害防止法 特定開発行為許可制度の手引き(PDF):島根県。「自己用の居住の用に供する住宅」とは自らの生活の本拠として使用する住宅であり、寮・社宅、組合が組合員に譲渡する住宅、別荘(生活の本拠とは考えられないため該当しない)はこれに当たらないこと、および制限用途から自己居住目的が除かれている理由。あわせてQ&Aより、人工斜面も崩壊が自然現象として生じうるなら対象になること、現地への標識設置は法律上求められていないこと、住民が居住していない土地も特別警戒区域になりうること、その後の基礎調査で警戒区域が特別警戒区域に変わりうること、地価下落に対する補填は基本的にないこと、および従来の区域との原因地対策と被害想定区域という違い。
- 静岡県:土砂災害警戒区域等に関するよくある質問:静岡県。特定開発行為が自己用以外の住宅等のための行為であること、および住宅分譲・マンション・社員住宅という例示。
- 沖縄県:土砂災害特別警戒区域内における居室を有する建築物:沖縄県。建築物の全部または一部が区域内にあり、かつ敷地の過半が区域内にある場合に建築確認申請が必要になること、敷地の過半が区域外で確認が不要な場合でも建築物の一部が区域内なら構造規制を受けること、および構造方法の平成13年国土交通省告示第383号。(同ページは都市計画区域外の小規模建築物について改正前の建築基準法第6条第1項第4号の番号を用いています。現行では同項第3号に相当します。)
- 大阪府:災害危険区域内の建築許可について:大阪府。市町村ではなく都道府県が建築基準法第39条にもとづき指定する例、急傾斜地の崩壊の危険との結びつけ、および府内の一部が市の条例にもとづくこと。
- 国土交通省:既存建築物に対する制限の緩和:国土交通省。既存不適格建築物の一定の増築等についての法第86条の7の緩和。
- 国土交通省:土砂災害特別警戒区域内の既存不適格建築物に対する支援:国土交通省。特別警戒区域内の既存不適格建築物が制度上の類型として扱われ、補助の対象となっていること。
- 国土交通省:全国における土砂災害警戒区域等の指定状況(2026年6月末時点、PDF) および 用語の定義(PDF):国土交通省。721,014と621,287の合計、発生原因別の内訳、地滑りの特別警戒区域が1件であること、イエロー・レッドの表記。
- 国土交通省:土砂災害危険箇所:国土交通省。従来の危険箇所の掲載終了と、全国的に区域指定が一通り完了したとの記載。
- 国土交通省:土砂災害ハザードマップの公表状況(2026年3月末時点、PDF):国土交通省。警戒区域を指定または指定予定の1,602市町村のうち、約100%がハザードマップを公表していること。
- 国土交通省:土砂災害ハザードマップへの土砂災害警戒区域反映状況(2026年3月末時点、PDF):国土交通省。基礎調査済み区域の96%が掲載済みであること(区域は、またがる市町村ごとに計上)。
- 国土交通省:都道府県の土砂災害情報へのリンク集:国土交通省。
- 国土交通省:急傾斜地崩壊危険区域の解説:国土交通省。指定、制限行為、許可に関する規定が都道府県の条例等により定められていること。
- ハザードマップポータルサイト:国土地理院・国土交通省。
- 国土交通省:国土数値情報:国土交通省。土砂災害警戒区域等のGISデータ。
日本の不動産所有を確認
購入前に、その土地・建物の所有者を確認する
対象の土地・建物の登記事項証明書(登記簿)を Japan Property Research でオンライン取得すれば、登記上の所有者、権利関係、抵当権まで確認できます。登記は地番で請求するため、まず地図で対象地番を特定し、1通1,500円で申請してください。書類はメールで届き、アカウントにも保存されます。
無料ツール
数字でも確認する
Share This Guide
Send this guide to teammates or clients who need a clear starting point for property research in Japan.
https://japanpropertyresearch.com/ja/guides/how-to-check-if-japanese-land-is-in-a-landslide-hazard-zone