土地が保安林かどうかを確認する方法
安く売られている山林は、森林法にもとづく保安林に指定されていることがあります。保安林では、都道府県知事の許可なく立木を伐採することも、土地の形質を変更することもできません。制限の内容、罰則、そして購入前に指定の有無を確認する手順を解説します。
日本で特に安く売られている土地の多くは、森林です。地方の物件情報を見ていくと、数千平方メートルの山林が中古車より安い価格で出ていることも珍しくありません。なぜそこまで安いのか。理由はいくつかありますが、物件情報からはいちばん見えにくいもののひとつが、その土地が森林法にもとづく保安林に指定されている可能性です。
保安林の指定は、用途地域のような都市計画上の区分ではなく、登記簿で正式に確認できるものでもありません。水源を守る、斜面の崩壊を防ぐ、落石から道路を守るといった目的のために行われる、独立した行政上の指定です。そして実際の制限は軽くありません。保安林では、都道府県知事の許可を受けずに立木を伐採することも、土地を掘ったり、ならしたり、形を変えたりすることもできません。家を建てたい、見晴らしをよくしたい、進入路をつけたいという買主にとって、これは「掘り出し物」と「目的に使えない土地」を分ける違いです。
このガイドでは、保安林という指定が何であるか、具体的にどの行為に許可が必要か、違反した場合の罰則、そして契約前に自分の対象地が指定されているかを確かめる手順を説明します。登記事項証明書を読んだことがない方は、まず日本の登記事項証明書の読み方(英語)からお読みください。
保安林とは何か、誰が指定するのか
保安林とは、森林法第25条第1項に掲げられた11の目的のいずれかを達成するために指定される森林です。目的は、水源のかん養、土砂の流出の防備、土砂の崩壊の防備、飛砂の防備、風害・水害・潮害・干害・雪害・霧害の防備、なだれまたは落石の危険の防止、火災の防備、魚つき、航行の目標の保存、公衆の保健、名所または旧跡の風致の保存です。森林法第25条はこれを11の号として定めていますが、第5号が6つの被害、第6号が2つの危険をまとめているため、林野庁や多くの都道府県は17種類の保安林として説明しています。実務で目にするのは、法律上の11よりこちらの数字です。
指定を行うのは2つの機関です。農林水産大臣は第25条にもとづいて指定します。ただし民有林については、対象となるのは第1号から第3号までの目的で、かつ重要流域内に存するものに限られます。それ以外の民有林は、第25条の2にもとづき都道府県知事が指定します。重要流域以外の流域内にある民有林についての第1号から第3号までの目的(同条第1項)と、民有林についての第4号から第11号までの目的(同条第2項)です。
指定の効力は、法務局への登記ではなく、告示によって生じます。第33条により、告示には保安林の所在場所、指定の目的、および指定施業要件(立木の伐採の方法と限度、伐採跡地に必要な植栽の方法・期間・樹種)が記載されます。指定および解除は、この告示によって効力を生ずると同条第2項が明記しています。
許可なしにできないこと
対象地が自分の計画に合うかどうかは、ここで決まります。森林法第34条は、2つの別々の許可を求めています。
- 第34条第1項:立木の伐採。 保安林では、都道府県知事の許可を受けなければ立木を伐採できません。例外は9つあり、除伐、法令にもとづく伐採義務の履行、火災・風水害その他の非常災害に際し緊急の用に供する必要がある場合などが含まれます。このうち2つは許可ではなく知事への事前届出による手続ですが、いずれも見た目より狭いものです。第34条の2の択伐は、人工植栽に係る森林の立木の伐採に限られます。したがって天然林の択伐には、第1項の許可が必要です。第34条の3の間伐は、保安林一般が対象です。どちらも、指定施業要件に定める伐採の方法に適合し、かつ伐採の限度を超えない範囲内であることが条件で、適合しない計画には知事から変更命令が出されます。また、例外の第9号は農林水産省令に委ねられており、森林法施行規則第60条がさらに10の場合を定めています。そのうち5つは事前の届出による手続で、同条第2項により伐採をしようとする日の2週間前までに届け出る必要があります。道路・鉄道・電線等の設備や住宅・学校等の建築物に著しい被害を与え、またはその用途を著しく妨げている立木を緊急に除去する場合も、ここに含まれます。倒木や枯死木の伐採など、届出もいらない場合はごく一部です。
- 第34条第2項:伐採以外のすべて、特に土工事。 知事の許可を受けなければ、立竹を伐採し、立木を損傷し、家畜を放牧し、下草・落葉・落枝を採取し、または土石もしくは樹根の採掘、開墾、その他の土地の形質を変更する行為をしてはなりません。例外は限定的で、農林水産省令で定める軽易な行為や、非常災害時に緊急に必要な行為などに限られます。
例外に当たるからといって、手続が不要になるわけではありません。第1項第7号または第2項第4号の非常災害の場合に該当して行為をしたときも、第34条第9項および森林法施行規則第66条により、伐採その他の行為の終わった日から30日以内に都道府県知事へ届出書を提出しなければなりません。提出を怠ると、第210条第2号により30万円以下の罰金です。
買主が二度読むべきなのは、最後の一節です。宅地の造成、斜面の切土、進入路の設置、基礎工事は、いずれも土地の形質を変更する行為にあたります。したがって保安林では第34条第2項の対象となり、事前に許可が必要です。
ただし、この許可を「申請すれば通る建築確認のようなもの」と考えないでください。第34条第5項が定める基準は限定的です。知事は、申請に係る行為がその保安林の指定の目的の達成に支障を及ぼすと認められる場合を除き、許可しなければならないとされています。住宅を建てれば森林は恒久的に失われます。水源のかん養や斜面の崩壊防備を目的として指定された土地では、まさにこの基準が想定している行為です。また、代わりとなる開発許可の道もありません。第10条の2は保安林を適用対象から明文で除いているからです。つまり、保安林を森林以外の用途に転換することは指定の解除の問題であり、次の項目で見るとおり、所有者が建築したいという事情は法定の解除理由に含まれていません。買主にとっての実務的な結論はこうです。都道府県から書面で別の回答を得られない限り、保安林は建築できない土地だと考えて、購入の判断をしてください。
罰則は形式的なものではない
森林法の罰則は分かれていて、重いほうが立木ではなく土工事に科されます。
- 第34条第2項に違反して、土石もしくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為をした場合:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(第206条第4号)。
- 第34条第1項に違反して、保安林の立木を伐採した場合:150万円以下の罰金(第207条第1号)。
- 第34条第2項に違反して、立竹を伐採し、立木を損傷し、家畜を放牧し、または下草・落葉・落枝を採取した場合:150万円以下の罰金(第207条第2号)。
指定前の段階にも注意が必要です。保安林予定森林として告示された森林については、第31条により、知事が90日を超えない期間内で立木竹の伐採や土石・樹根の採掘、開墾その他の土地の形質を変更する行為を禁止することができ、この禁止命令に違反すると第208条第3号により100万円以下の罰金が科されます。
解除は買主の切り札にはならない
指定は申請すれば外せる、と考えたくなりますが、法律が定める理由は2つだけです。第26条の2により、都道府県知事は、民有林である保安林について指定の理由が消滅したときは解除しなければならず、公益上の理由により必要が生じたときは解除することができます。農林水産大臣が指定したものについては第26条が同様に定めています。また第27条により、利害関係を有する地方公共団体の長や、指定・解除に直接の利害関係を有する者は、書面で申請することができます。
つまり申請自体は可能ですが、理由は法律が挙げたものに限られます。家を建てたい、土地の価値を上げたいというのは、そこに含まれていません。売主や仲介業者から「後で解除できる」と言われた場合は、それを前提に価格を判断するのではなく、契約前に都道府県へ書面で確認すべき事項として扱ってください。
保安林と林地開発許可は別の制度
保安林に指定されていない森林も無規制ではありませんが、規制はかなり緩く、両者は混同されがちです。
第10条の2により、地域森林計画の対象となっている民有林で開発行為を行う場合は知事の許可が必要ですが、同条は保安林を明文で適用対象から除いています。そして重要なのは、この許可が政令で定める規模を超える場合にのみ必要になる点です。森林法施行令第2条の3は、その規模を次のように定めています。太陽光発電設備の設置を目的とする行為は0.5ヘクタール、専ら道路の新設または改築を目的とする行為は1ヘクタールかつ道路の幅員3メートル、それ以外の行為は1ヘクタールです。必要な許可を受けずに開発行為をした場合は、第206条第1号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
実務上の違いは明確です。通常の地域森林計画対象林であれば、数百平方メートルの住宅用地は1ヘクタールをはるかに下回るため、第10条の2の許可はそもそも不要です。一方、保安林には面積の下限がありません。第34条は、面積にかかわらずその土地に適用されます。
ただし、開発許可の規模に達しないことと、規制がないことは別です。地域森林計画の対象となっている民有林では、立木を伐採する前に、森林所有者等が市町村の長に伐採及び伐採後の造林の届出書を提出しなければならないと第10条の8が別途定めており、こちらに一般的な面積の下限はありません。森林法施行規則第9条により、提出時期は伐採を開始する日前90日から30日までの間です。届出をせずに伐採すると、第208条第1号により100万円以下の罰金となります。届出はこれで終わりではありません。第10条の8第2項および森林法施行規則第14条の2により、伐採の終わった日から30日以内に、また伐採後の造林を行う場合はその造林の終わった日から30日以内に、森林の状況を記載した報告書を提出しなければなりません(間伐を除く)。報告をせず、または虚偽の報告をした場合は、第210条第1号により30万円以下の罰金です。2回目の報告は造林の終わった日を起点とするため、届出で跡地を森林以外の用途に転用すると記載し、造林を予定していない場合には生じません。どちらに当たるかは市町村に確認してください。なお、保安林にはこの第10条の8の届出義務は適用されません。より厳しい第34条の許可が適用されるためです。また第10条の8には11の除外事由があり、第10条の2の許可を受けた開発行為を行うための伐採、除伐、非常災害時に緊急の用に供する必要がある場合などが含まれます。11番目は農林水産省令に委ねられており、森林法施行規則第14条が身近な場合を定めています。倒木・枯死木・著しく損傷した立木を伐採する場合や、道路・鉄道・電線等の設備または住宅・学校等の建築物に著しく被害を与え、もしくは与えるおそれがあり、またはその用途を著しく妨げている立木を伐採する場合で、伐採の面積が著しく小さいときです。後者の具体的な数値は林野庁が通知で定めているため、危険木だからといって必ず30日前の届出が要るとは限りません。市町村に現行の基準を確認してください。したがって、すでに開発許可を受けている場合に、重ねて届出が必要になるわけではありません。なお、このうち非常災害の場合に免除されるのは事前の届出だけです。火災・風水害等で緊急に伐採した場合も、第10条の8第3項および森林法施行規則第15条により、伐採の終わった日から30日以内に市町村の長へ伐採の届出書を提出しなければならず、怠ると第210条第2号により30万円以下の罰金です。
正確にまとめると、こうなります。通常の地域森林計画対象林では、狭い土地なら開発許可は不要でも市町村への届出は必要。保安林では、面積にかかわらず知事の許可が必要。「森林とはいえ狭い土地だから大丈夫」という判断は、どちらの場合も成り立ちません。
森林を買うこと自体にも届出義務がある
第10条の7の2により、地域森林計画の対象となっている民有林について新たに土地の所有者となった者は、市町村の長に届け出なければなりません(国土利用計画法第23条第1項の届出をしたときを除きます)。森林法施行規則第7条により、期限は所有者となった日から90日以内です。届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は、第213条により10万円以下の過料が科されます。
この義務は、保安林かどうかを問わず適用されます。保安林である場合は、市町村の長から都道府県知事へ届出の内容が通知されます。森林を購入する際の決済手続の一部として織り込んでおいてください。
税額に出る手がかり
地方税法第348条第2項第7号により、保安林に係る土地は固定資産税が非課税です(森林の保健機能の増進に関する特別措置法にもとづく一定の施設の用に供する土地で政令で定めるものを除きます)。売主の納税関係書類に、その森林について固定資産税の記載がない場合は、理由を確認する価値があります。他にも非課税となる事由はあるため決め手にはなりませんが、調べる方向を示す手がかりにはなります。
対象地について、契約前に次の手順で確認してください。
- 地番を特定する。 森林に関する記録は筆ごとに管理されているため、住所ではなく地番が必要です。地方の山林には、そもそも住居表示がないことも多くあります。無料の地番検索と地番の調べ方のガイドをご利用ください。
- 登記地目を答えだと思わない。 保安林は不動産登記規則が定める23種類の地目のひとつなので、登記事項証明書に「保安林」と記載されていれば有力な手がかりです。しかし指定は森林法にもとづいて行われ、告示によって効力を生じるものです。正式に管理しているのは登記簿ではなく、都道府県の森林行政です。保安林に指定されている土地の地目が単に「山林」であることはよくあります。登記簿に保安林と書かれていないことは、指定されていないことの証明にはなりません。地目が何を意味し、何を意味しないかは日本の土地の地目を確認する方法をご覧ください。
- 都道府県に保安林台帳を閲覧させてもらう。 これが決定的な確認方法であり、多くの買主が省いてしまう手順でもあります。森林法第39条の2は、都道府県知事に保安林台帳の調製と保管を義務づけ、閲覧を求められたときは正当な理由がなければ拒んではならないと定めています。都道府県の林務課・森林整備課(名称は自治体により異なります)または地域の農林事務所に、市町村名・大字・地番を伝え、指定の有無、指定の目的、指定施業要件の内容を確認してください。あわせて、その土地について第34条の許可が過去に出されたか拒否されたか、また第31条の禁止命令が出ていないかも、別途照会してください。いずれも台帳の記載事項ではないため、保安林台帳を閲覧するだけでは分かりません。
- 地図データは一次スクリーニングに留める。 多くの都道府県が森林GISで保安林の区域を公開しており、国土交通省も国土数値情報として全国の保安林データを提供しています。対象地が指定区域の近くにあるかどうかを素早く見るには有効ですが、いずれも一定時点のデータであり、境界も地図の縮尺による概略です。最終的な確認は台帳で行ってください。
- 説明義務が及ぶ取引なら、書面で説明させる。 宅地建物取引業者が売買の当事者となる場合や媒介する場合、森林法第34条第1項・第2項による制限は重要事項説明の対象です。宅地建物取引業法施行令第3条第1項第46号が、森林法第10条の2第1項、第10条の11の6、第31条、第34条第1項・第2項を明記しています。この項目を具体的に示すよう求めてください。ただし、森林の場合は2つの限界があり、どちらもこの手順に頼れないことを意味します。説明義務の対象は宅地または建物に限られ、宅地建物取引業法第2条第1号の宅地とは、建物の敷地に供せられる土地、および用途地域内のその他の土地(道路・公園・河川等の公共施設用地を除く)をいいます。建物の敷地でもなく用途地域内でもない山林は、そもそも同法の対象外です。つまり、売買の形態にかかわらず宅地建物取引業者の説明義務は生じません。保安林の多くはこれに当たります。また、宅地に当たる場合、個人間の売買であっても宅地建物取引業者が媒介していれば説明義務は生じます。義務がないのは、業者が関与しない純粋な個人間の直接売買で、自治体の空き家バンク掲載物件に多い形態です。いずれにせよ、確認は買主側の責任だと考え、都道府県に直接確認してください。
- 指定の有無だけでなく、自分の計画について尋ねる。 都道府県に確認すべきは「保安林かどうか」だけではありません。「保安林である場合、自分がやろうとしている行為に第34条第2項の許可が必要か、そしてこの場所で現実に許可されるのか」まで聞いてください。造成、進入路、基礎工事といった具体的な行為を挙げて説明するのが有効です。
- 決済後に必要な届出を見込んでおく。 地域森林計画の対象となっている民有林では、所有者になること自体が第10条の7の2の届出(市町村の長へ90日以内)を発生させます。こちらは保安林かどうかを問わず適用されます。伐採は逆です。保安林でない場合は、第10条の8の届出(伐採開始日前90日から30日までの間、同条の除外事由に該当する場合を除く)が原則として必要です。保安林である場合は、第10条の8は適用されず、代わりに第34条による知事の許可が必要になります。市町村への届出が知事の許可の代わりになることは、決してありません。なお、許可ではなく非常災害の例外により伐採や土工事を行った場合は、終了日から30日以内に、第34条第9項・森林法施行規則第66条にもとづく届出書を都道府県知事へ提出してください。保安林でない森林の場合は、提出先が市町村の長になります(第10条の8第3項・森林法施行規則第15条、同じく30日以内)。また保安林では、許可を得て終わりではありません。伐採が終わったら、第34条第8項および森林法施行規則第65条により、第34条第1項の許可を受けた者は、伐採の終わった日から30日以内に都道府県知事へ届け出なければならず、許可を受けた者が森林所有者でないときは、同じく30日以内に森林所有者へも通知しなければなりません。この届出を怠ると、第210条第3号により30万円以下の罰金です。さらに第34条の4により、森林所有者は、指定施業要件に定められた植栽の方法・期間・樹種に従って伐採跡地に植栽しなければなりません。この義務は、伐採したのが他人であっても森林所有者が負います(伐採を知らなかったことに正当な理由があると認められる場合や、すでに造林の命令が出ている場合などを除きます)。期間内に植栽しない場合や、定められた方法・樹種によらない場合は、第38条第4項により知事から植栽を命じられることがあります。伐採の前に、どちらの手続が適用されるかを市町村と都道府県に確認してください。なお、第10条の8の届出により伐採した場合は、その後の報告も必要です。第10条の8第2項・施行規則第14条の2にもとづき、伐採の終了後30日以内に1回、造林を予定している場合はその終了後30日以内にもう1回提出します。建築のために伐採し、その旨を届出に記載している場合は、1回目だけです。
- 確認結果を契約に落とし込む。 建築できることが購入の前提なら、都道府県からの書面による確認を停止条件とし、期限を定めてください。売主の口頭の説明は、第206条・第207条による処罰を免れる理由にはなりません。
もっとも多い誤りは、安い山林の物件情報を通常の森林だと受け取り、1ヘクタールに遠く及ばない狭い土地だから規制の対象外だろうと考えてしまうことです。この理屈は第10条の2の林地開発許可については当てはまりますが、面積の下限がない保安林にはまったく当てはまりません。次に多いのは、前の所有者が伐採や造成をしていたことを、その土地で同じことができる証拠だと考えてしまうことです。違法な行為には責任が伴い、第38条にもとづく命令によって原状回復を求められることもあります。
このテーマについて、登記事項証明書でわかること・わからないこと。
- 確実にわかること: 地番、登記上の地目(保安林と記載されている場合もあれば、されていない場合もあります)、地積、現在の所有者、そして抵当権・差押えなどの登記された権利関係。いずれも証明書の作成時点のものです。森林の場合、所有者の確認は通常以上に重要です。相続された地方の山林は、亡くなった先代の名義のままになっていることが少なくありません。
- わからないこと: 保安林に指定されているかどうか、どの目的で指定されたか、指定施業要件の内容。これらは登記簿には存在せず、告示と都道府県の保安林台帳に記録されています。森林法施行規則第74条により、保安林台帳の帳簿には、指定の年月日と第33条第1項の告示番号、所在場所と面積、指定の目的、指定施業要件、指定時の森林の概況などが記載され、図面には境界線と大字名・字名・地番が記載されます。
- 保安林台帳にも載っていないこと: その土地について第34条の許可が過去に出されたか拒否されたか、第31条の禁止命令が出ているかどうか。これらは台帳の記載事項ではなく、別個の行政記録です。また第31条の禁止命令の対象は、まだ指定されていない保安林予定森林ですから、保安林ごとに調製される台帳に載ることはありません。台帳の閲覧とは別に、都道府県へ名指しで照会してください。
- 取得方法: 無料の地番検索で対象の筆を特定し、土地の登記事項証明書を1,500円で取得できます。建物がある場合は、土地と建物は別々に登記されるため、建物の登記事項証明書も取得してください。いずれもメールでお届けし、アカウントに保存されます。手順は登記事項証明書を英語で取得する方法(英語)で説明しています。
登記事項証明書が最初の一歩として適しているのは、都道府県に問い合わせる前に必要な地番・所有関係・権利関係がそろうからです。保安林台帳の代わりにはなりません。両方を確認し、その結果を接道・境界・用途地域と並べて不動産デューデリジェンス・チェックリストに記録してください。
対象地に指定があり、土地の形質を変更することが計画の前提になっている場合は、都道府県の林務担当課に確認したうえで、契約前に司法書士または土地家屋調査士に相談してください。
よくある質問
保安林とは何ですか? 保安林とは、水源のかん養、土砂の流出・崩壊の防備、落石の危険の防止など、森林法第25条第1項に掲げる11の公益目的のいずれかを達成するために、農林水産大臣または都道府県知事が第25条・第25条の2にもとづいて指定した森林です。
保安林に家を建てられますか? 原則として建てられないと考えてください。造成・掘削・基礎工事を含む土地の形質を変更する行為には、森林法第34条第2項により都道府県知事の許可が必要で、立木の伐採には同条第1項の許可が必要です。第34条第5項により、知事は、その行為が指定の目的の達成に支障を及ぼすと認められる場合を除き許可しなければならないとされていますが、水源のかん養や斜面の崩壊防備のために指定された森林では、住宅の建築は通常この「支障を及ぼす」場合に当たります。第10条の2は保安林を除いているため代わりとなる開発許可もなく、所有者が建築したいというだけでは指定の解除もできません。購入前に、具体的な計画について都道府県から書面で回答を得てください。
ある土地が保安林かどうかは、どう調べますか? 地番を特定したうえで、都道府県の林務担当課に保安林台帳を確認してもらいます。森林法第39条の2により、都道府県は保安林台帳を調製・保管し、閲覧を求められたときは正当な理由がなければ拒めません。都道府県の森林GISや国土数値情報の保安林データは、最初の確認には便利ですが、決定的な資料ではありません。
登記事項証明書を見れば保安林かどうかわかりますか? 確実にはわかりません。保安林は23種類の地目のひとつなので記載されていることもありますが、指定は森林法にもとづき告示によって効力を生じるものです。指定されている土地が「山林」として登記されていることもよくあります。登記事項証明書では地番と所有関係を押さえ、指定の有無は都道府県に確認してください。
保安林の指定は解除できますか? 法律が定める理由がある場合に限られます。第26条の2により、知事は指定の理由が消滅したときは解除しなければならず、公益上の理由により必要が生じたときは解除することができます。直接の利害関係を有する者は第27条により申請できます。開発したいという事情自体は解除の理由になりませんので、「解除できる」という説明を受けた場合は、都道府県に書面で確認してください。
許可を受けずに伐採や造成をするとどうなりますか? 第34条第1項に違反して立木を伐採した場合は150万円以下の罰金です。第34条第2項に違反して土地の形質を変更した場合はより重く、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金となります。あわせて原状回復等の命令を受けることもあります。
保安林でない森林なら制限はないのですか? いいえ。別々の2つのルールがあります。森林法第10条の2による知事の開発許可が必要になるのは、施行令第2条の3が定める規模(太陽光発電設備0.5ヘクタール、道路1ヘクタールかつ幅員3メートル、その他1ヘクタール)を超える場合だけで、一般的な住宅用地はこれを下回ります。しかし第10条の8により、原則として伐採前に市町村の長への伐採及び伐採後の造林の届出が必要で、こちらに面積の下限はなく、伐採開始日前90日から30日までの間に提出します。届出なしの伐採は100万円以下の罰金です。ただし同条には11の除外事由があり、第10条の2の許可を受けた開発行為のための伐採、除伐、非常災害時の緊急の伐採などが該当するため、開発許可と届出が常に重ねて必要になるわけではありません。また、土地を取得すること自体にも、第10条の7の2により90日以内の届出義務があります。保安林については、第34条の許可に面積基準がありません。
保安林に固定資産税はかかりますか? 地方税法第348条第2項第7号により、保安林に係る土地は固定資産税が非課税です(一定の保健機能施設の用に供する土地を除きます)。森林について固定資産税の記載が見当たらない場合は、その理由を確認してみる価値があります。
関連ガイド:
- e-Gov法令検索:森林法(昭和26年法律第249号):デジタル庁 e-Gov法令検索。第10条の2(開発行為の許可)、第25条・第25条の2(指定)、第26条の2・第27条(解除・申請)、第31条(保安林予定森林における制限)、第33条(告示と効力)、第34条(保安林における制限)、第39条の2(保安林台帳)、第206条・第207条・第208条(罰則)。
- e-Gov法令検索:森林法施行令(昭和26年政令第276号)第2条の3:デジタル庁 e-Gov法令検索。開発行為の規模(太陽光0.5ヘクタール、その他1ヘクタール)。
- e-Gov法令検索:地方税法 第348条第2項第7号:デジタル庁 e-Gov法令検索。保安林に係る土地の固定資産税非課税。
- e-Gov法令検索:宅地建物取引業法 第2条・第35条:デジタル庁 e-Gov法令検索。宅地の定義および重要事項説明の適用範囲。
- e-Gov法令検索:宅地建物取引業法施行令 第3条第1項第46号:デジタル庁 e-Gov法令検索。重要事項説明の対象となる森林法上の制限。
- e-Gov法令検索:森林法施行規則(昭和26年農林省令第54号)第7条・第9条・第14条・第14条の2・第15条・第60条・第65条・第66条・第74条:デジタル庁 e-Gov法令検索。所有者届出・伐採届出の提出期限、伐採後の報告、許可に係る伐採の届出、緊急伐採等の届出、伐採届出を要しない場合、および保安林台帳の記載事項。
- 林野庁:保安林制度:農林水産省 林野庁。
- 林野庁:林地開発許可制度:農林水産省 林野庁。
- 国土交通省:国土数値情報 保安林データ:国土交通省。
日本の不動産所有を確認
購入前に、その土地・建物の所有者を確認する
対象の土地・建物の登記事項証明書(登記簿)を Japan Property Research でオンライン取得すれば、登記上の所有者、権利関係、抵当権まで確認できます。登記は地番で請求するため、まず地図で対象地番を特定し、1通1,500円で申請してください。書類はメールで届き、アカウントにも保存されます。
無料ツール
数字でも確認する
Share This Guide
Send this guide to teammates or clients who need a clear starting point for property research in Japan.
https://japanpropertyresearch.com/ja/guides/how-to-check-if-japanese-land-is-protected-forest