リサーチガイド

海外から日本の固定資産税を納める方法(納税管理人)

固定資産税は住んでいる場所ではなく所有者に課税されます。1月1日時点で誰に請求されるのか(通常は登記名義人、1月1日より前に亡くなっている場合は相続人)、納税管理人とは何でどう届け出るのか、相続人の場合の違い、そして納税通知書が行方不明にならないよう登記名義人を確認する方法を解説します。

公開日: 2026年9月29日

海外から日本の不動産を持つとき:納税通知書はそれでも届く

日本に不動産を持っているけれど今は住んでいない、あるいは、一度も見たことのない実家を相続した——そんな方が最もよくつまずくのは、法的な争いではなく、古い住所に届いたまま開封されない納税通知書が、いつの間にか滞納になっているという事態です。毎年かかる 固定資産税 は、住んでいる場所ではなく所有者に課税される税金です。日本に住んでいるかどうかに関係なく、通知は届き続けます。

標準的な対策は、納税管理人 を選任することです。納税管理人とは、日本国内にいて、納税通知書を受け取り、あなたに代わって納税してくれる人のことです。このガイドでは、誰に課税されるのか、納税管理人とは何でどう届け出るのか、相続人の場合はどう違うのか、そして登記事項証明書で市区町村が見ている「所有者」が正しいかどうかを確認する方法を解説します。自治体・国税庁などの案内をもとにした実務的な概説です。様式や細かい扱いは自治体ごとに異なるため、詳細は物件所在地の税務窓口でご確認ください。税率など全体像は 日本の不動産税ガイド をご覧ください。

誰に課税されるか、納税管理人とは何か、届出の方法

誰に課税されるか:1月1日時点の登記名義人

固定資産税は、不動産の所在地の市町村が課税します(東京23区は東京都が課税します)。地方税法第343条により、納税義務者はその年の1月1日(賦課期日)現在の固定資産の所有者で、土地・建物については登記簿(または市町村の補充課税台帳)に所有者として記載・登録されている人を指します。実務上、次の2点が重要です。

  • 海外に住んでいても課税は止まりません。 課税は、どこに住んでいるかではなく、誰が所有者として登記されているかで決まります。
  • 年の途中で売却しても、その年の納税義務者は自動的には変わりません。 自治体の案内では、たとえ3月に売却・登記が完了しても、1月1日時点の登記名義人がその年の納税義務者とされています。売主と買主の間の負担の按分は、当事者間で精算します。

登記名義人が亡くなっている場合

1月1日より前に登記名義人が亡くなっている場合は、1月1日現在にその不動産を実際に所有している人(通常は相続人)が納税義務者になります。多くの自治体では、相続人の代表者を届け出る 相続人代表者指定届 と、現所有者を申告する 固定資産現所有者申告書 を兼ねた書式の提出を求めています。書式の名称や提出期限は自治体によって異なり、相続人が自分が現所有者であることを知った日から3か月以内としている自治体もありますが、起算点は異なる場合があります。特に、不動産の存在に最近気づいたばかりの場合は、必ず市区町村に確認してください。この書式の2つの役割は別です。現所有者申告書は、現在の所有者が誰かを市区町村に伝えるもの(ご自身だけでなく全員を記載します)、代表者指定届は、通知を受け取る相続人1名を決めるものです。どちらも登記簿は変わりません。所有権を移すには、別途、義務化されている相続登記が必要です。詳しくは 海外在住者が日本の相続不動産を確認する方法 をご覧ください。

納税管理人とは

納税管理人は、納税者本人が手続きできない場合に、納税通知書の受領、納税、還付通知や還付金の受領などを代わりに行う人です。市区町村は、日本を離れる方など、通知の受領や納付ができなくなる所有者に対し、出国前に納税管理人を定めるよう求めています。実務のポイントは次のとおりです。

  • 誰がなれるか: 日本国内に住所のある個人(親族や知人)または法人です。税理士や不動産管理会社が有料で引き受けるケースもあるため、費用と業務範囲を確認しましょう。納税管理人は重い責任を負うため、信頼できる人を選び、情報を共有しておくことが大切です。
  • 届出方法: 不動産の所在地の市区町村に 納税管理人申告書 を提出します。具体的な様式や追加の手続き(たとえば納税管理人の住所による違い)は自治体ごとに異なるため、自治体のウェブサイトの様式を使い、電話などで確認してください。
  • いつ: 必要が生じてから10日以内としている自治体もあります。出国前、または日本の不動産があると知った時点で届け出るのが安全です。
  • 届け出ないと: 条例で、正当な理由なく届出をしなかった場合に過料を定めている自治体があります。それ以上に現実的なのは、誰も受け取らない住所に送られた通知が、そのまま未納になることです。

国税は別の届出です

上記の市区町村への届出は、固定資産税などの地方税に関するものです。国税(たとえば物件から家賃収入がある場合の所得税など)は国税庁の管轄で、税務署に提出する別の 納税管理人の届出 があります。市区町村に納税管理人を届け出ても、国税の納税管理人を届け出たことにはなりません。日本での所得がある場合は、国税庁の案内を確認するか、税理士に相談してください。

納付の方法

市区町村は毎年、納税通知書を発行し、納期限を定めます(多くの場合、年に数回に分けて納付します)。納付方法は、口座振替・金融機関やコンビニ・窓口での納付のほか、2023年4月からは地方税統一QRコード(eL-QR)を使い、対応する自治体でクレジットカードやネットバンキングで支払える場合もあります。利用できる方法は自治体に確認してください。納税管理人が立て替える場合は、あらかじめ精算方法を決めておきましょう。

設定の進め方(ステップ)

実務的な進め方は次のとおりです。

  1. 登記名義人を確認し、実際に誰に課税されているかを市区町村に確認する。 Japan Property Research の 無料の地番検索ツール で区画を特定し、1,500円で登記事項証明書を取得します。甲区(所有権に関する事項)で、登記名義人の氏名・住所を確認してください。通常、市区町村が課税する相手であり、確認の出発点になります。ただし、その方が1月1日より前に亡くなっている場合や現所有者の申告がされている場合は、市区町村の課税台帳には別の人(通常は相続人)が載っていることがあります。課税台帳上の納税義務者は、市区町村に確認してください。
  2. 登記上の住所が現在のものか確認する。 古い国内の住所のままだと、通知が届いていない可能性があります。登記簿の住所を直すのは別の、義務化された登記です。日本の不動産登記の住所・氏名を変更する方法 をご覧ください。
  3. 市区町村の担当窓口を確認する。 通常は資産税課または固定資産税課です(東京23区は都税事務所)。納税通知書がすでに発行されているか、どの住所宛か、納税管理人の届出にどの様式を使うかを尋ねましょう。
  4. 日本を離れる前に、納税管理人を決めて届け出る(または、日本の不動産があると分かった時点ですぐに)。納税管理人に何をしてもらうか、納付資金をどう用意するかを文書で確認しておきます。
  5. 市区町村への届出だけで終わらせない。 物件から収入がある場合は、国税の納税管理人の届出や所得税について、税理士に相談してください。
  6. 相続人は、代表者の届出と相続登記の両方を行う。 届出は現所有者を報告し、通知を受け取る人を決めるものですが、登記簿は更新しません。更新するのは相続登記です。
  7. 開封していない納税通知書を放置しない。 固定資産税を滞納すると延滞金が生じ、放置が続けば市区町村が不動産を差し押さえることがあります。心当たりがある場合は、登記事項証明書で差押えの登記がないか確認するとともに、市区町村にも確認してください。登記簿に載っていなくても、差押えが行われていないことの証明にはなりません(次のセクション参照)。

登記事項証明書でわかること・わからないこと、費用

登記事項証明書でわかること・わからないことは次のとおりです。

  • 確実にわかること: 甲区に記載された登記名義人と、その住所・氏名。市区町村が納税義務者として扱う人、そして通知の送り先を考える出発点になります。ただし決定的ではなく、1月1日より前の死亡や現所有者の申告があった場合、市区町村の課税台帳には登記名義人と別の人が載っていることがあります。
  • わからないこと: 税額、評価額、納付状況、納税管理人が誰か。これらは市区町村が保有しています。年1回の納税通知書には請求額が、評価の記録には評価額が載りますが、いずれも実際に納付されたことの証明にはなりません。納付状況は、市区町村の税務窓口で納税証明書などの証明(名称や取得可否は自治体によって異なります)や滞納の有無の確認を受けてください。市区町村は通常、納税義務者本人、相続人などの資格のある人、または委任を受けた代理人に交付します。登記名義人であるだけでは足りない場合があります(たとえば年の途中で売却した場合、その年の納税義務者は売主のままです)。
  • 滞納による差押えが載るか: 滞納がこの不動産の差押えに至った場合は、通常、甲区に登記されます。証明書に載るのは差押えの事実で、その背景にある滞納額は載りません。市区町村は預貯金など他の財産を差し押さえて徴収することもあり、その場合は不動産の登記簿には載りません。したがって、登記簿がきれいでも、滞納や差押えがないことの証明にはなりません。納付・差押えの状況は市区町村に確認してください。
  • 取得方法: 無料の地番検索ツール で区画を特定し、Japan Property Research から1,500円で登記事項証明書を取得できます(メールで納品)。
  • 買主の場合: 売主に直近の納税通知書を求め、クロージング前に、売主(その年の納税義務者)に、通知書だけでなく納付や滞納の有無を示す証明を市区町村から取得してもらうか、仲介業者や司法書士に取得を委任してもらい、未納税額がないことを確認しましょう。購入に伴う税金は 日本の不動産税ガイド をご覧ください。

共有者が多数いる、相続登記が未了、滞納がある、収入のある物件である——といった複雑なケースでは、動く前に市区町村の税務窓口、税理士、または司法書士にご確認ください。

海外から日本の固定資産税を納めることに関するFAQ

FAQ

海外に住んでいても、日本の固定資産税は払う必要がありますか? はい。固定資産税は、1月1日時点の所有者に課税され、居住地は関係ありません。通常は登記名義人ですが、登記名義人が1月1日より前に亡くなっている場合は相続人です(1月1日より後の死亡ではその年の納税義務者は変わらず、納税義務は相続の手続きを通じて引き継がれます)。

納税管理人とは何ですか? 日本国内で納税通知書を受け取り、あなたに代わって納税する人です。日本を離れる方など、通知の受領や納付ができなくなる所有者は、出国前に選任するよう市区町村から求められます。

誰が納税管理人になれますか? 日本国内に住所のある個人または法人です。自治体ごとに独自の要件がある場合があるので、税務窓口に確認してください。

どこに届け出ますか? 不動産の所在地の市区町村です(東京23区は都税事務所)。納税管理人申告書、またはその自治体が指定する様式を使います。様式は自治体のウェブサイトにあります。

同じ届出で所得税もカバーされますか? いいえ。国税は国税庁の管轄で、別に納税管理人の届出があります。

3月に売却しました。その年の税金は誰が払いますか? 自治体の案内では、1月1日時点の登記名義人がその年の納税義務者です。売主と買主の間の按分は、通常、当事者間で精算します。

登記名義人の親が亡くなりました。誰に請求が来ますか? 親御さんが1月1日より前に亡くなった場合は、1月1日現在にその不動産を実際に所有している人(通常は相続人)です。1月1日より後に亡くなった場合は、その年の納税義務者は亡くなった親御さんのままで、納税義務は相続の手続きを通じて引き継がれます。相続人代表者の届出について市区町村に確認し、相続登記は別途行ってください。

滞納するとどうなりますか? 延滞金が生じ、放置が続けば市区町村が不動産を差し押さえることがあります。納付漏れが心配な場合は、市区町村に確認してください。

登記事項証明書で税額はわかりますか? いいえ。登記事項証明書に載るのは所有権や権利関係で、税額ではありません。税額は市区町村に確認してください。

関連ガイド:

情報源・公的参照先

範囲についての注記:上記の自治体ページは個々の市区町村の説明であり、様式・期限・過料・納付方法は自治体ごとに異なるため、本ガイドでは一般的な範囲にとどめています。滞納が差押えに至りうること、有料の納税管理人サービスがあること、eL-QRによる納付は一般的な実務であり、お住まいの・物件所在地の市区町村でご確認ください。

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購入前に、その土地・建物の所有者を確認する

対象の土地・建物の登記事項証明書(登記簿)を Japan Property Research でオンライン取得すれば、登記上の所有者、権利関係、抵当権まで確認できます。登記は地番で請求するため、まず地図で対象地番を特定し、1通1,500円で申請してください。書類はメールで届き、アカウントにも保存されます。

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